我々は本研究において、Ewing肉腫の特異的融合遺伝子産物EWS-Fli1が、そのsubtypeによってmicroRNA (miRNA)及び標的mRNA発現にどのような影響を与えているかを解明する。切断点の異なるEWS-Fli1 type 1及びtype 2を、各々に特異的なsiRNAによりknock downした後に、有意な発現変化を示すmiRNAとその標的mRNAを網羅的に解析することで、Ewing肉腫の性質を普遍的に規定する因子、予後不良のtype 2に特有な予後規定因子、より選択的な治療標的となる因子、を同定することによりEwing肉腫の発がん機構の解明のみならず、EWS-Fli1 type別の予後規定因子を特定できると考えた。Ewing肉腫のEWS-Fli1融合遺伝子には切断点の違いによるsubtypeが存在し、type 1とtype 2が大多数を占めるが、特にtype 2を持つEwing肉腫は予後不良とされている。本研究では、EWS-Fli1の融合タイプ別にその支配下にあるmiRNAおよびmRNA遺伝子群を明らかにし、融合タイプによらずEwing肉腫全体に普遍的な影響を及ぼす因子と、融合タイプによって異なる発現をしている因子を抽出し、その生物学的意義を検証した。
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