研究課題
CD109タンパクは正常組織では非常に限られた細胞にのみ発現する膜タンパクで、発癌との関連が注目されている。われわれはCD109タンパクがさまざまな軟部肉腫で高発現し、CD109をノックダウンすると腫瘍増殖が抑えられること、さらに転移症例で発現が有意に高いことを見出した。このCD109タンパクを再発転移のバイオマーカーとして確立すること、さらにCD109タンパクを標的とした治療法を開発する。CD109タンパクは転移をきたした症例で有意に発現していることから、CD109タンパクの発現は軟部肉腫の転移能獲得に深く関わっているものと考えられる。CD109タンパクは、正常組織にはほぼ発現していないため、血漿中のCD109タンパクの存在は再発あるいは転移のマーカーになりうる。これまでCD109タンパクはphosphatidylinositol phospholipase (PIPLC)によりsoluble CD109(sCD109)タンパクとして血漿中に分泌されることが分かっている。このsCD109を血漿中から同定することで、再発転移のマーカーとなりうるか検討する。当院のIRB承認下で、軟部肉腫患者初診時、手術後、再発時/転移時の血液を50ml採取し、血球と血漿が分離する。血漿をクライオチューブにて-80℃で保存し、患者それぞれの時期におけるsCD109を定量化し、再発転移のマーカーになりうるか検討する。
3: やや遅れている
prospectiveな検討のため、患者数が現在でも解析に足りていないことから、やや遅れていると判断した。
sCD109の定量化による再発転移の検討を行う。血漿中のsCD109は患者初診時、手術後、再発時、転移時の血漿からsCD109を定量化し、健常人の血漿sCD109値をコントロールとして、再発転移のバイオマーカーとなりうるか比較検討する。
次年度は、軟部肉腫に対する新規治療法として、CD109タンパクを標的とした免疫療法の開発を行う。具体的には、CD109を標的とした治療抗体の作製とCD109を標的とした癌ワクチン療法を開発予定である。我々が構築した天然のレパートリを持つ抗体ファージライブラリに対して、バイオパニングを行い、CD109タンパク抗原に対する特異抗体の分離する。その後CD109由来ペプチドの作製と合成し、合成ペプチドのHLAとの結合能評価することで、候補となるペプチドを選択する。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件)
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