軟部肉腫における早期の再発転移診断を可能とする血漿バイオマーカー検査の確立と軟部肉腫に対する新規治療法を開発する。CD109タンパクは正常組織では非常に限られた細胞にのみ発現する膜タンパクで、発癌との関連が注目されている。われわれはCD109タンパクがさまざまな軟部肉腫で高発現し、CD109をノックダウンすると腫瘍増殖が抑えられること、さらに転移症例で発現が有意に高いことを見出した。このCD109タンパクを再発転移のバイオマーカーとして確立すること、さらにCD109タンパクを標的とした治療法を開発する。
平成30年度に再発転移を来たし、原発腫瘍組織にCD109タンパクが発現した症例は1例しかいなかった。平成31年度も同様に、当院で手術を行った軟部肉腫は17例であったが、2例のみにしたCD109の発現を認めなかった。さらに採取した血清中にもsCD109を認めることができなかった。血清から転移診断を行うことは困難であると結論づけられた。
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