研究課題
膝半月は一旦損傷すると自然治癒を期待することは困難であることから半月板切除されることがしばしばある。半月板損傷状態によってはその切除量は多くなり、亜全摘あるいは全摘術となることもある。全摘亜全摘した場合は高率に変形性膝関節症を発症することが報告されているが、この状態を打開するための方法として海外では屍体からの半月板を採取し使用する他家移植が可能であるが、本邦では使用することができない。そのために本邦では自家移植腱を用いた半月板再建術が行われている。しかしその成績は決して満足できるものではなく、その原因として腱と半月板の組織相違が考えられる。我々は以前から腱にサイトカインを注入し、軟骨化、骨化させる技術を開発してきた。今回の研究はこの技術を用いて、現在骨粗しょう症で用いられている副甲状腺ホルモン(PTH)を使用した組織再現による半月板再建術の開発することである。まずはPTHの腱に対する作用を検索した。ラットアキレス腱にPTHを注入し、処置後4週の組織を確認したところ、75ug/kg(22.5μg)以上で軟骨化が見られ、8週、12週経過での組織では骨化は見られなかった。つまり、PTHは腱内で軟骨化を誘導するが、骨化は誘導しないことが分かった。次にPTH注入したラットアキレス腱を半月板部分欠損モデルの半月板欠損部分に移植した。術後4、8週での移植部分は半月板に類似した組織で充填されていた。腱にPBS注入後移植したものをControl群とし、PTH注入群との比較を行った。マクロ評価では、両群とも半月板様組織で充填されていた。組織標本では、移植腱は関節面に適合し半月板様の形態として両群共に認めた。トルイジンブルー染色では、PTH群のみ4、8週共に異染性が見られ、軟骨様細胞が確認できた。両群ともに移植組織の骨化は認めなかった。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件)
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