研究課題
超高齢社会を迎えた我が国において、高齢者の脊椎固定術が増加している。高齢者は若年者に比べ骨癒合が遷延することから高齢者の骨癒合促進は極めて重要である。昨年度までに間葉系幹細胞分離技術と細胞積層技術、成長因子アンカーリング技術を用いて作製した細胞シートおよび10 ug BMP-2含有コラーゲンゲルをマウス後側方固定術(PLF)モデルに投与した結果、10ug BMP-2と細胞シート併用群で最も高い新生骨量、骨塩量が認められた。しかし、機能性間葉系幹細胞シートの作製にはBMPとコラーゲンの親和性を向上させる必要があった。本年度はBMP2-like peptide(knuckle peptide)とコラーゲン結合ドメインの融合タンパク(knuckle-CBD)を作製し、検討を行った。ヒト間葉系幹細胞を分離後、3継代行った細胞を実験に用いた。200万個のヒト骨髄間葉系細胞をコラーゲンシートに播種し積層を行った。積層後1 mg knuckle-CBDをコラーゲンシートに吸着後移植した群を作製した。PLFモデルを作製したのみの群をコントロールとして用いた。しかし、knuckle-CBD群における椎体間の骨癒合は認められなかった。そこで、培養骨髄間葉系幹細胞を用いてknuckle-CBDのBMP活性を検討した。骨髄間葉幹細胞をknuckle-CBD刺激後、アルカリフォスファターゼ(ALP)、Dlx5,osterixのmRNA発現を検討した。BMP2で刺激した群をポジティブコントロールとした。BMP2刺激群ではALP,Dlx5の発現が上昇したが、knuckle-CBD刺激群では上昇が認められなかった。このことからknuckle-CBDは十分なBMP2活性を有していないことが明らかになった。精製法を含め、更なる検討が必要であると考えられた。
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