現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
われわれは, 日本人CS 94症例に対して遺伝子解析を行い, 日本人CSの約10%がTBX6遺伝子の変異によって起こることを明らかにした (Takeda et al, 2017). また, 日本人CS 78例に対して全エクソン解析を行い, 78例中1例にLFNG遺伝子にミスセンスバリアントのヘテロ接合性を同定した. 両バリアントとも非常にまれなバリアントであり、変異予測プログラムおよびLFNGタンパクの酵素活性実験により変異であると判定し,日本人CSに対する大規模な全エクソン解析によりLFNG遺伝子は, CSの新規原因遺伝子であることを明らかにした (Takeda et al, 2018 in progress). また, この78例のエクソームデータを独自の解析パイプラインを用いて新規原因遺伝子の探索を行っている. さらに, 現在のところ, 約200家系のCSおよび肋骨癒合を伴うCS (いわゆるSCD) 患者のDNA検体及びその両親のDNA検体を収集済みであり, 今後, 全エクソン解析を予定している. 現在まで, 遺伝子解析及び検体収集は概ね予定通りに遂行されていると考える.
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今後の研究の推進方策 |
78例のエクソームデータを独自の解析パイプラインを用いて新規原因遺伝子の探索を行っている. 同定された遺伝子異常, 稀なSNP候補群を症例および両親のゲノムDNAを用いてサンガーシークエンス等で検証していく. さらに, 収集済みであるCSおよび肋骨癒合を伴うCS (いわゆるSCD) 患者のDNA検体及びその両親のDNA検体に対して全エクソン解析を行う予定である. しかし, CSおよびSCDは, 様々な併存症を有している症例が多く, 非常にheterogeneousな疾患であるため, 全エクソン解析を行う前にまずは表現型を詳細に解析し, 共通の表現型を有する疾患群としてデータ解析が必要であると考えられる. 同定された遺伝子変異を有する症例を蓄積し, 患者の表現型 (側弯の特徴, 部位, タイプ,重症度, 進行性, 合併異常, 治療反応性など) と遺伝子型の関係を評価することにより, その特徴を明らかにする. これにより目下, 異質性に富んだ疾患の集合であるCSの再分類を図り, 予後の判定や最適な治療法の確立の基盤を確立する.
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