研究課題/領域番号 |
17K10987
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
金子 和夫 順天堂大学, 医学部, 教授 (50311981)
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研究分担者 |
末原 義之 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70509405)
齋藤 剛 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80439736)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 軟部肉腫 / pazopanib / 著効例 / GLI1 |
研究実績の概要 |
本研究は、難治性かつ「希少がん」である高悪性軟部肉腫における生命予後の改善に貢献する新規治療法の開発を目的とする。具体的には我々のグループが、 Tyrosine kinase (TK)阻害剤であるPazopanib 著効例の高悪性軟部肉腫手術検体より新規発見したキナーゼ遺伝子変異、及びそれらに一致したリン酸化タンパク 質の高発現に注目し、大規模コホートによる変異・発現検証及びin vitro, in vivoの機能解析を行う。 (1) Pazopanib著効症例の特異的遺伝子変異と特異的リン酸化タンパク質発現の解明:Pazopanib著効例の腫瘍検体と正常組織を用いたNGSによる網羅的遺伝子変 異解析(RNA-seqとDNA-seq解析)及びリン酸化アレイによる発現解析を行い、Pazopanib著効例の腫瘍特異的遺伝子変異及びリン酸化タンパク質発現のプロファ イルを明らかにする。その結果としてRNA-seqとDNA-seq解析及びリン酸化アレイを行い、奏効性候補ターゲットの同定に成功した。(2) 軟部肉腫コホートにおける同定遺伝子変異及びリン酸化タンパク質発現の頻度の探索:(1)で同定に成功している著効例特異的遺伝子変異・リン酸化タンパ ク質発現を軟部肉腫コホート(FFPE)に対してPCR法及び免疫染色法を用いて探索する。著効例で同定されたGLI1遺伝子増幅、mRNA高発現を高悪性軟部肉腫コホート内で検証を行い、著効例特異的であることを確認した。(3) 著効例特異的遺伝子変異及びリン酸化タンパク質発現の機能解析:腫瘍細胞株を用いて著効例特異的遺伝子変異の遺伝子導入を行い、細胞増殖や薬剤奏功性 の観察を進め、がん化能・薬剤奏功性能などの機能を明らかにする。細胞株内にGLI1の導入を行い癌化能の確認に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度、(1) Pazopanib著効症例の特異的遺伝子変異と特異的リン酸化タンパク質発現の解明として、Pazopanib著効例の腫瘍検体と正常組織を用いたNGSによる 網羅的遺伝子変異解析(RNA-seqとDNA-seq解析)及びリン酸化アレイによる発現解析を行い、Pazopanib著効例の腫瘍特異的遺伝子変異及びリン酸化タンパク質 発現のプロファイルを明らかにし、奏効性候補ターゲット(GLI1遺伝子増幅、PDGFRBリン酸化)の同定に成功した。計画時予測した治療ターゲットより複雑な発現機構を示したため因子同定に時間がかかりやや遅れているが、検証実験計画内で進め成功を収めている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降も引き続き、(1) Pazopanib著効症例の特異的遺伝子変異と特異的リン酸化タンパク質発現の解明としてPazopanib著効例の腫瘍検体と正常組織を用 いたNGSによる網羅的遺伝子変異解析(RNA-seqとDNA-seq解析)及びリン酸化アレイによる発現解析を行い、Pazopanib著効例の腫瘍特異的遺伝子変異及びリン酸化タンパク質発現のプロファイルの更なる解明を進める。(2) 軟部肉腫コホートにおける同定遺伝子変化及びリン酸化タンパク質発現の頻度の探索として、(1)で同定に成功している著効例特異的遺伝子変化・リン酸化 タンパク質発現を軟部肉腫コホートに対してmRNA及びタンパク質発現レベルで検証を進める。更には臨床病理学的素因と共にPazopanibが著効する因子を明らかにする。(3) 著効例特異的遺伝子変異及びリン酸化タンパク質発現の機能解析として、細胞株を用いて著効例特異的遺伝子増幅の遺伝子導入を行い、細胞増殖・がん化能以外の薬剤奏功性の観察を進め、薬剤奏功性能における機能を明らかにする。更にはinvivoにて腫瘍増殖や薬剤奏功性の観察を進め、実際のバイオマーカーや治療標的としての可能性を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、(1) Pazopanib著効症例の特異的遺伝子変異と特異的リン酸化タンパク質発現の解明として、Pazopanib著効例の腫瘍検体と正常組織を用いたNGSによる 網羅的遺伝子変異解析(RNA-seqとDNA-seq解析)及びリン酸化アレイによる発現解析を行い、Pazopanib著効例の腫瘍特異的遺伝子変異及びリン酸化タンパク質 発現のプロファイルを明らかにし、奏効性候補ターゲットの同定に成功したが、計画時予測した治療ターゲットより複雑な発現機構を示したため同定に時間がかかりやや遅れており次年度使用額が生じているが、検証は実験計画内で進め成功を収めている。 今年度使用計画として、同定特異的遺伝子変化の軟部肉腫コホート内における遺伝子発現検証、細胞株を用いた遺伝子導入実験や阻害剤奏効性実験(in vitro in vivo)に対して使用計画としている。
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