研究課題
本研究は、難治性かつ「希少がん」である高悪性軟部肉腫における生命予後の改善に貢献する新規治療法の開発を目的とした。具体的には我々のグループが、 Tyrosine kinase (TK)阻害剤であるPazopanib 著効例の高悪性軟部肉腫手術検体より新規発見したキナーゼ遺伝子変異、及びそれらに一致したリン酸化タンパク質の高発現に注目し、大規模コホートによる変異・発現検証及びin vitro, in vivoの機能解析を行った。(1) Pazopanib著効症例の特異的遺伝子変異と特異的リン酸化タンパク質発現の解明:Pazopanib著効例の腫瘍検体と正常組織を用いたNGSによる網羅的遺伝子変 異解析(RNA-seqとDNA-seq解析)及びリン酸化アレイによる発現解析を行い、Pazopanib著効例の腫瘍特異的遺伝子変異及びリン酸化タンパク質発現のプロファイ ルを明らかにした。その結果としてRNA-seqとDNA-seq解析及びリン酸化アレイを行い、奏効性候補ターゲットの同定に成功した。(2) 軟部肉腫コホートにおける同定遺伝子変異及びリン酸化タンパク質発現の頻度の探索:(1)で同定に成功している著効例特異的遺伝子変異・リン酸化タンパク質発現を軟部肉腫コホート (FFPE)に対してTarget Sequencing、PCR法、免疫染色法を用いて探索した。著効例で同定されたGLI1遺伝子増幅、mRNA高発現を高悪性軟部肉腫コホート内で検証を行い、著効例特 異的であることを確認した。(3) 著効例特異的遺伝子変異及びリン酸化タンパク質発現の機能解析:腫瘍細胞株を用いて著効例特異的遺伝子変異の遺伝子導入を行い、細胞増殖や薬剤奏功性の観察を進め、がん化能・薬剤奏功性能などの機能を明らかにした。細胞株内にGLI1の導入を行い癌化能の確認とその導入細胞株の抗腫瘍効果確認に成功した。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
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