研究実績の概要 |
関節軟骨最表層の代表的マーカーであるPrg4タモキシフェン作動性ノックインマウス(Prg4EGFPCreERt2;βcatenin-floxマウス)と関節軟骨最表層特異的βcatenin過剰発現マウス(Prg4EGFPCreERt2;βcatenin Ex3マウス)は変形性膝関節症マウスモデルにおいて、コントロール群に比べて変性が促進された。このメカニズムを解明するために、関節軟骨最表層細胞(SFZ)を用いて、In vitroの解析を行った。Wntのアゴニスト化合物、、WntのリガンドをSFZ細胞に投与した結果、Wntリガンドド5a, 5b, 9aの3種の投与とWntアゴニストは顕著にPrg4の発現をあげることがリアルタイムRT-PCRで示された。これらの化合物とタンパクはPrg4の発現を上昇させ、関節軟骨最表層を保護する作用のある変形性膝関節症治療候補薬として有用であることが示された。 Prg4はメカニカルストレスに呼応して発現し、その経路はCrebを解することが報告されているため、WntシグナルとCrebとの関係性について、WntがPrg4の発現を上げる作用機序を旋回培養を用いて解析した。2時間をピークにPrg4の発現が上昇し、そのタイムコースにおける変化はβカテニン(Wntシグナルのマーカー)発現も上昇していた。上記で検討したWntアゴニストを投与し、Creb1のタンパク発現をウエスタンブロットで確認したところ、有意にCreb1のタンパク発現量が増えていた。これらの結果から、WntシグナルはCrebを介し、かつメカニカルストレスに反応し、Prg4の発現を上昇させることが示唆された。これらの結果は今年度論文発表することができた(Xuan F, et al., Arthritis Res Ther 21:247, 2019)
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