研究実績の概要 |
以下に現在得られている実験結果について概要を示す。 MIAを用いた関節症動物モデルに対して、初期および進行期に間葉系細胞の関節内投与を行い、膝関節軟骨の変化および後根神経節における疼痛関連因子の免疫組織学的な変化を検討した。10週齢のSDラット(n=30)の両膝関節にMIA 2mg/0.5mlと逆行性トレーサーであるFluoro-Goldを投与し、モデルを作成した。治療介入群としてMIA注入後7日目(初期群)、14日目(進行期群)に間葉系細胞(0.5ml:1×10/6 cells)を右膝関節内に投与した群をそれぞれ作成した。間葉系細胞は同種脂肪細胞より採取し用いた。MIA投与後7,14,21,28日で還流固定し、膝関節軟骨の肉眼的関節軟骨スコアを用いて評価、HE染色、サフラニンO染色を用いて観察した。後根神経節における疼痛関連因子としてSubstance P、CGRPの免疫染色を行い、陽性細胞割合を比較検討した。またCGRPの発現をWestern blottingを用いて半定量的に評価した。投与した間葉系細胞についてはflow cytometryで表面抗原の発現を検討した。その結果肉眼的関節軟骨スコアは、MIA投与後28日では非治療介入群が4.5であったのに対し、初期群では1.3と良好であった。後根神経節における疼痛関連因子の陽性細胞割合は、治療介入群ではSubstance P、CGRPともに非治療介入群と比較して低下していた。CGRPのWestern blottingでも同様の結果であった。間葉系細胞はCD29、CD90陽性、CD31陰性であった。MIAを用いた関節症動物モデルに対して、初期、進行期共に間葉系細胞の関節内投与で疼痛の抑制を認めた。現在上記内容について論文にまとめ、Osteoarthritis and Cartilageに投稿を予定している。
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