研究課題
種々のストレスに対する生体反応をストレス反応と呼んでおり、外的環境の変化に対し生体は迅速に反応する。ストレスタンパク質 (heat shock protein; HSP) は、熱や化学物質などのストレスにより誘導される一群のタンパク質の総称で、分子量が90kDaのHSP90や70kDaのHSP70など高分子量ストレスタンパク質と、分子量が10-30kDaのHSP27、HSP20などが低分子量ストレスタンパク質として大別されている。HSPは、分子シャペロンとして機能すると考えられている。HSP90は非刺激状態の細胞においても恒常的に発現している。またHSP90は、癌や自己免疫疾患などの疾患の病態に関与していることが報告されているが、骨芽細胞における役割の詳細は未だ明らかではない。骨は破骨細胞による骨吸収とそれに引き続く骨芽細胞による骨形成によって骨リモデリングは絶えず活発に行われている。骨レモデリングにおいて骨吸収部位への骨芽細胞の遊走は必須であり、骨折時の骨修においても遊走は重要であると考えられている。しかし、その調節機序の詳細は未だ明らかとされていない。Platelet-derived growth factor (PDGF) は血小板から分泌される細胞増殖因子であり、骨芽細胞の遊走を促進することが知られている。本研究では、骨芽細胞様MC3T3-E1細胞においてPDGF-BB刺激による細胞の遊走におけるHSP90の役割を検討した。骨芽細胞において高分子量ストレスタンパク質の一つであるHSP90がPDGF-BBによる細胞遊走能をp44/p42 MAPキナーゼを介し、促進的に制御していることを明らかとした。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
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