研究課題
骨形成因子(BMP)は強力な骨誘導能を有するが、炎症反応に関連した副作用により幅広い適用は制限されている。本研究はBMPを用いて骨組織再生の最適化のために生体内でBMPによる異所性骨化が生じる過程を多重蛍光標識マウス(Col2.3-ECFP/ TRAP-tdTomatoマウス:成熟骨芽細胞;シアン色・成熟破骨細胞;赤色)を二光子励起顕微鏡を用いて可視化し、各種介入による骨代謝関連細胞の動的変化や骨形成の変化を定量評価することを目的とし実施した。マウス皮下にコラーゲンに含浸したBMPを移植し、術後7,10,14,21日での骨芽細胞・破骨細胞数および動的変化、コラーゲン形成の定量化を行った。また薬剤介入効果の検証としてテリパラチド投与を行うことで前記の評価指標がどのように変化するかを検討した。骨芽細胞は移植後10日から破骨細胞は14日から観察された。テリパラチド投与は骨芽細胞の出現を移植後7日に早めたが破骨細胞の出現時期に影響を与えなかった。骨芽細胞の数および運動はテリパラチド投与により維持された。一方、破骨細胞数はテリパラチド投与により増加し、細胞形態変化は減少した。細胞形態変化の減少は破骨細胞による骨吸収の活性化を反映していると考える。骨芽細胞に対する骨形成促進作用が早期に出現し持続することが、破骨細胞数増加による骨吸収促進を上回ることがテリパラチド投与によるBMP誘導異所性骨化の骨形成増加・骨質改善に寄与していると考えられた。本研究の継続により、BMP誘導骨形成の最適化手法が骨形成過程を観察しながら可能となることが期待される。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画に従い順調に進行している。現在、二光子励起顕微鏡で観察される細胞の形態や動的変化と細胞の遺伝子発現変化の相関を解析している。
当初の計画に従い順調に進行している。現在、二光子励起顕微鏡で観察される細胞の形態や動的変化と細胞の遺伝子発現変化の相関を解析している。今後はテリパラチド投与間隔の変更や骨粗鬆症モデルでの検討、他薬剤(スクレロスチン抗体)を用いた解析を予定している。
国際学会出張費を他の研究費から支出したため、計画から減額となりました。次年度の海外出張および国内学会出張費に使用する予定としております。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件)
Nature Communications
巻: 9 ページ: e9631
10.1038/s41467-017-02541-w