研究課題
外傷や腫瘍に伴う広範囲骨欠損や脊椎固定術においては骨組織の早期誘導による骨癒合の獲得が求められる。強力な骨形成能を有する骨形成因子(BMP)は欧米では広く臨床使用される。しかし、骨形成誘導過程に伴う炎症反応に関連した有害事象が多く報告される。我々は、BMP誘導異所性骨化の過程を生体内で「可視化」する生体内イメージングの系を確立し、効率的なBMP誘導異所性骨化を達成する手法を検証した。本年度の研究では、BMP誘導異所性骨化の二光子励起顕微鏡を用いた生体内イメージング手法を世界ではじめて確立し、骨代謝作動薬であるPTH1-34が骨芽細胞運動・数、破骨細胞運動・数、コラーゲン形成に与える動的影響を定量的に示すことに成功した。骨芽細胞によるコラーゲンの形成においてもコラーゲン配向性の経時的変化を定量評価し、またPTH1-34がコラーゲン配向変化を促進することを示した。これら結果を科学雑誌に投稿し採択された。また、PTH1-34の投与間隔の変化が異所性骨形成に与える影響を生体内イメージングの手法を用いて解析し、骨芽細胞と破骨細胞の接触増加と骨形成の関係を解析した。骨粗鬆症モデルを用いた解析では、異なる骨粗鬆症治療薬であるビスフォスフォネート投与がBMP誘導異所性骨化の誘導に与える影響を解析し、ビスフォスフォネート投与がBMP誘導異所性骨量を増大させる効果を有することを示した。これらBMP異所性骨化の生体内イメージングによって得られた知見は、超高齢社会となり骨癒合の獲得が一層容易ではなくなっている医療において、骨再生の最適化につながることが期待される。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件)
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