研究課題
本年度は、miR-29b過剰発現によるADAM12-L発現への影響を調べるため、正常ヒト軟骨細胞に対してmiR-29b mimic (Applied Biosystems) 刺激24時間後におけるADAM12-Lの発現レベルをreal-time PCRで測定した。さらに、miR-29b mimic刺激と同時にTGF-β1刺激を加えて、刺激後24時間後のADAM12-Lの発現レベルをreal-time PCRで測定した。その結果、ヒト軟骨細胞においてmiR-29bの過剰発現により、ADAM12-Lの発現が有意に抑制された(p<0.05)。さらに、miR-29bの過剰発現により、TGF-βによって誘導されたADAM12-Lの発現が抑制された(p<0.05)。次に、miR-29bの発現制御機構を調べるため、in vitroでヒト軟骨細胞に対する周期的伸張刺激が遺伝子発現に与える影響を検討した。正常ヒト軟骨細胞に対して、周期的伸張刺激(CTS;0.50Hz,10% 伸張)を30分間負荷し、ADAM12-LとADAMTS-5、miR-29bの発現をreal-time PCRにより解析した。その結果、非刺激群と比較しCTS群では、miR-29bの発現が有意に低下し(p<0.05)、ADAM12-LとADAMTS-5の発現が有意に亢進した(p<0.05)。この結果から、比較的強いメカニカルストレスは、miR-29bの発現を抑制することによりADAM12-LとADAMTS-5の発現を亢進させることが判明した。これまで軟骨細胞において、ADAM12がTGF-β依存性シグナルに関与し、肥大化に関連するRUNX2およびX型コラーゲン発現を抑制することで軟骨細胞分化を調節していることを示してきた。本研究はさらにmiR-29bの人為的制御によって、ADAM12の発現が制御可能であることを示唆した。
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