研究実績の概要 |
膝OAモデル作成後に、Salubrinal投与群(術後8週:Sal-8w群、術後12週:Sal-12w群)と、PBS投与群(術後8週:PBS-8w群、術後12週:PBS-12w群)の4群(n=7)を作成し、軟骨変性、軟骨細胞機能、小胞体ストレス応答ならびにアポトーシスの発生について解析した。 軟骨変性はHE染色とサフラニン-O染色を行ってmodifed Mankin scoreで評価した。Sal-8w群とPBS-8w群およびSal-12w群とPBS-12w群にはそれぞれ差を認めなかった(8w:Sal群vs. PBS群2.7 vs. 2.1, 12w:Sal群vs. PBS群4.1 vs. 3.4)。 軟骨細胞機能は、2型コラーゲンとアグリカンの免疫染色を行ってstaining H-scoreで評価した。2型コラーゲン(170.7 vs. 201.1, 156.4 vs. 183.3)およびアグリカン(56.0 vs. 52.4, 39.9 vs. 48.9)には差を認めなかった。同様にMMP13(56.2 vs. 67.5, 54.0 vs. 54.5)とADAMTS5(41.4 vs. 38.7, 29.4 vs. 33.2)の陽性細胞率には差を認めなかった。 小胞体ストレス応答に関しては、p-eIF2α(28.8 vs. 23.2, 4.5 vs. 2.8)、CHOP(54.1 vs. 58.2, 51.6 vs. 32.5)、XBP1s(18.5 vs. 16.1, 17.8 vs. 15.4)およびGRP78(78.3 vs. 72.6, 71.1 vs. 76.4)と陽性細胞率には差を認めなかった。 アポトーシスはTUNEL染色陽性細胞率で評価したが、これもSalubrinal群とPBS群とに差を認めなかった(11.2 vs. 17.0, 11.2 vs. 12.0)。 まとめると、軟骨変性の進行、軟骨細胞機能、小胞体ストレス応答およびアポトーシスの発生は、8週時、12週時のいずれにおいてもSalubrinal投与群と対照群とに有意な差異を認めなかった。
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