研究課題/領域番号 |
17K11013
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
水田 博志 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (60174025)
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研究分担者 |
廣瀬 隼 熊本大学, 医学部附属病院, 准教授 (40433007) [辞退]
唐杉 樹 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 講師 (80706482)
岡元 信和 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (70600162)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 軟骨変性 / 変形性膝関節症 / 小胞体ストレス / 小胞体ストレス応答 / Quercetin |
研究実績の概要 |
平成30年度はフラボノイドQuercetinによる軟骨変性の進行抑制効果をマウス膝OAモデルで検証した。モデル作成1週後より、週2回で3週間、Quercetin(5mM、50μl)を関節内に投与するQuercetin投与群、PBS(50μl)を同様に関節内に投与するPBS群を作成し、モデル作成8、12 週後に屠殺し(各群7匹)、膝関節骨軟骨組織を採取した。HE染色とサフラニン-O染色標本でmodified Mankin scoreを算出し軟骨変性を比較した結果、8w、12wともに、Quercetin群とPBS群の間には有意な差を認めず、Quercetinによる軟骨変性の進行抑制効果は確認できなかった (Quercetin8w群:2.1/PBS8w群:2.1、Quercetin8w群:3.9/PBS8w群:3.6)。免疫染色で評価した軟骨細胞機能は、Ⅱ型コラーゲン(H score) (8W群:150.8/ 163.4、12w群:140.1/143.7)およびアグリカン(H score) (8w群:45.3/29.3、12w群:40.0/36.4)、 MMP13(陽性細胞率)(8w群:47.6/54.6、12w群:42.3/49.3)およびADAMTS5(陽性細胞率)(8w群:22.0/23.8、12w群:34.4/35.6)と同化系、異化系ともに両群間に差を認めなかった。小胞体ストレス応答(いずれも陽性細胞率)に関してはp-eIF2α(8w群:26.3/24.1、12群:28.7/27.4)、CHOP(8w群:54.0/50.0、12w群:62.5/52.0)、XBP1s(8w群:45.8/40.7、12w群:47.0/46.3)およびGRP78(8w群:46.6/53.7、12w群:52.8/50.6)、またアポトーシスの発生についてもTUNEL染色陽性細胞率(8w群:14.5/12.1、12w群12.8/13.2)といずれもQuercetin群とPBS群とに有意な差は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
残念ながらフラボノイドQuercetinによる軟骨変性の進行抑制効果は確認できなかったが、本年度の研究は当初の計画の通りに進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は本研究課題の最終年度であり、ケミカルシャペロン(4-PBA)による軟骨変性の進行抑制効果を検証する予定である。方法は、これまでと同様にマウスOA モデルを用いて、ケミカルシャペロン(4-PBA)を関節内に投与し、軟骨変性の進行、軟骨細胞機能、小胞体ストレス応答ならびにアポトーシスの発生について、PBS を投与した対照群と比較解析する。平成29年度、平成30年度の研究においては、残念ながらeIF2α脱リン酸化阻害剤(Salubrinal)、およびフラボノイドQuercetinによる軟骨変性の進行抑制効果を確認することができなかったが、われわれは培養軟骨細胞系における先行研究で、4-PBAによる小胞体ストレスとアポトーシスの抑制を明らかにしており(日整会誌2015)、マウスOA モデルでの4-PBAによる軟骨変性の進行抑制が期待される。
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