線維性コラーゲン分子は、高分子会合体を形成し、骨および軟骨組織に機械的強度や柔軟性を与えている。これらコラーゲン分子は、組織発生や細胞分化などを厳密に制御しており、適切な細胞外環境が破壊されることにより、骨格形成の異常が引き起こされる。そこで本研究では、線維性コラーゲン分子群の骨格形成に関与する役割について検討した。 1)XI/XXVII型コラーゲン遺伝子の軟骨特異的発現調節機構の検討。XI/XXVII型コラーゲン遺伝子内に見出した、軟骨特異的エンハンサー領域の生体内での発現調節機構を明らかにするために、遺伝子改変マウスを作製し、その発現パターンを解析する。更に、XI型コラーゲン遺伝子において、軟骨特異的エンハンサー領域の近傍に、この領域に相互作用する可能性のあるサイレンサー領域を見出した。そこで、相互作用するサイレンサー領域に関与する抑制因子と結合領域を明らかにするために、ルシフェラーゼアッセイを試みた。 2)V/XXIV型コラーゲン遺伝子の骨特異的発現調節機構の検討。転写因子Sp7は、骨形成に重要な役割を果たしている事が知られているが、このSp7がV型コラーゲン遺伝子の基本プロモーター領域に関与していることを見出した。そこで、Sp7の強制発現およびノックダウンベクターを用いて、骨組織における発現調節機構を解析した。 3)non-cording RNAによる線維性コラーゲン発現調節機構の解析。mirRNAが、骨芽細胞におけるV型コラーゲン遺伝子の発現を抑制していることを見出した。そこで、その調節機構について、ルシフェラーゼアッセイにより検討すると共に、V型コラーゲン遺伝子プロモーター領域内に作用するlong non-coding RNAの関与についても検討した。
|