研究課題
基盤研究(C)
本研究課題において、主にラットの軟骨の体内時計に関する検討を進めた。ともに体内時計の発光レポーター遺伝子をもつ遺伝子改変マウスとラットを用い、いずれの動物の軟骨を器官培養しても、明瞭な概日リズムが観察できることを確認した。また時計の分子機構の出力を低減するような遺伝子改変ラットを開発し、軟骨の時計について評価した。さらに遺伝子改変ラットの椎間板を器官培養したところ、軟骨の発光リズムのピーク時刻が、ラットの成長に伴って遅れていった。
時間生物学
成長に伴う概日リズムのピーク時刻の変化は、他の臓器でも同様の知見が報告されているが、軟骨では初の知見である。今回、時計の分子機能を障害したラットでも同様の現象がみられたことは、この現象が軟骨の分化を反映する可能性を示唆している。軟骨の時計の研究には、マウスを実験モデルとして用いることが主流であったが、ラットは体長も大きく、外科的操作にも適した実験動物である。本研究から、軟骨の時計研究においても、ラットが有用なモデルであることが示された。