研究課題/領域番号 |
17K11022
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
真本 建司 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 登録医 (10789936)
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研究分担者 |
乾 健太郎 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (00291592)
伊井 正明 大阪医科大学, その他部局等, 講師 (10442922)
折田 久美 (荻久美) 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 博士研究員 (40748597)
岡野 匡志 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (50754826)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ADSCの抗炎症作用 |
研究実績の概要 |
関節リウマチは滑膜炎を特徴とする全身性の自己免疫疾患である。その治療としては現在メトトレキサートや生物学的製剤を中心とする全身的な薬物療法が主体であるが、関節炎が残存する場合に局所治療として関節注射が選択されることがある。我々は脂肪由来幹細胞(ADSC)の抗炎症性作用に着目し、局所治療による関節炎に対する有用性を検討した。 In vivo実験として関節炎を惹起させたSKG/Jclマウスに対して、ADSCを膝関節内に局所投与し、無治療群と組織学的(synovitis scoreおよび Mankin score)による比較を行った。In vitro実験として、real time RT-PCR法を用いて脂肪由来幹細胞単独、および脂肪由来幹細胞を共培養した刺激後滑膜細胞の遺伝子発現を確認した。 現時点の結果としては、ADSC治療群の膝関節組織は無治療群と比較して有意に滑膜炎を抑制し(synovitis score: 2.0 ± 0.7 vs 6.0 ± 1.6, p<0.01)、軟骨の変性が抑えられている(Mankin score: 2.2 ± 0.8 vs 4.9 ± 0.8, p<0.01)。遺伝子発現として、脂肪由来幹細胞単独ではTSG-6が多く発現し、刺激後滑膜細胞では脂肪由来幹細胞と共培養させるとTNF-α、IL-6の発現が抑制された。 脂肪由来幹細胞は他の間葉系幹細胞と比較して低侵襲で大量に採取精製できるため、臨床応用への期待が高まっている。本実験において、脂肪由来幹細胞の局所的投与での滑膜炎抑制効果がin vivoにおいて確認された。In vitroにおいても脂肪由来幹細胞はTSG-6を多く発現しており、抗炎症作用に関与している可能性が示唆されたことから、脂肪由来幹細胞は、リウマチ性関節炎モデルマウスに対して関節炎抑制効果を示し、局所治療としての有用性が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
関節炎モデルマウスの扱いやADSCの精製などの手技において、共同研究施設である大阪医科大学との連携することで、安定化した方法で行えていることが考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後現時点での結果をもとに、サンプル数を増やしていくことや、免疫染色などの実験を追加して、さらに結果の信憑性を高めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在の結果では不十分であり、追加実験が必要であるため。
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