研究課題/領域番号 |
17K11023
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
池渕 充彦 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (70453131)
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研究分担者 |
折田 久美 (荻久美) 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 博士研究員 (40748597)
佐伯 壮一 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (50335767)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 再生医療 / 軟骨 / 力学的特性 |
研究実績の概要 |
本研究では光干渉断層画像 (Optical Coherence Tomography: OCT)を応用し開発された組織力学特性の断層画像可が可能である応力緩和OCT (SR-OCSA)を使用し、変形性膝関節症軟骨の力 学特性と力学分布を検出、軟骨変性度によるその変化を解明することを目的とする。 平成30年度は、平成29年度に生じた力学測定実験の条件設定の問題はクリアされ、引き続きウサギ変形性膝関節症モデルに対する実験を継続した。New Zealand White Rabbitの前十字靭帯を切断することで変形性膝関節症モデルを作成し、術後2、4、8週に犠牲死させ異なる変性度の OAモデルを作成した。変形膝関節症の重症度別に変性軟骨の力学特性を押し込み力学試験機、SR-OCSAを用いて緩和時間、ひずみ速度緩和減衰係数をそれぞれ測定した。このOAモデルでは組織学的評価で術後4週からに有意にOARSIスコアの上昇を確認、経時的に上昇を認めた。力学特性は、力学測定実験の条件設定の改善を行った後も大きな傾向は変化せず、押し込み力学試験機から測定した緩和時 間は術後2週より有意に減少を認め、変性度が上昇するにつれ、さらなる減少を認め、またSR-OCSAから測定したひずみ速度緩和減衰係数は術後2週より有意に上昇 を認め、変性度が上昇するにつれ、さらなる上昇を認めた。このことより変形性関節軟骨の力学特性は組織学的に変性を認める前に低下していることが示唆され たと判断できた。 以上の成果により、A) 組織学的な軟骨変性重症度評価手技 B) SR-OCSAを用いた変性軟骨の力学特性分布のパターン 解析の手法 C)一般の押込力学試験装置を使用した、同試料の力学特性(弾性率、緩和時間) の測定の手法について、確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ヒト変形性膝関節症軟骨を用いたSR-OCSAによる変性軟骨の力学特性とその分布の検証 (ex vivo 実験)を行う計画であったが、 1)ウサギ変形性膝関節症モデルを用いた実験の継続・検証に、計画以上の時間を要した 2)力学測定実験の条件設定の検討とそれを反映したSR-OCSAシステムのセッティングに難渋した 以上により、ヒト変形性関節症軟骨を用いた検証は準備段階に留まり、「研究実績概要」に記載された手技を確立するに留まっている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度確立された手技を用いて、ヒト変形性膝関節症軟骨を用いたSR-OCSAによる変性軟骨の力学特性とその分布の検証を試みる
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次年度使用額が生じた理由 |
初期計画よりも進捗が遅れており、計画通りの予算執行ができなかった為、差額が生じた。
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