研究課題/領域番号 |
17K11025
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
中谷 祥恵 城西大学, 薬学部, 助教 (20453425)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | コラーゲン / コラーゲンペプチド / コラーゲン加水分解物 / 間葉系幹細胞 / 骨芽細胞 / 軟骨細胞 / 脂肪細胞 / 骨髄由来体性幹細胞 |
研究実績の概要 |
申請者らはプロリルヒドロキシプロリン(PO)添加時の軟骨細胞のトランスクリプトーム解析を行った結果、POは前駆軟骨細胞に発現している遺伝子を標的としている可能性が高かった。しかし、ATDC5は前駆軟骨細胞および増殖軟骨細胞での存在時間が短いため、これらの分化段階での遺伝子発現を評価することが難しい。そこで、間葉系幹細胞からの軟骨細胞への分化にPOが与える影響を検討し、標的遺伝子の同定を試みることを目的とした。 まず、コラーゲン由来ペプチドが骨髄由来間葉系幹細胞(BMSC)の増殖および分化に与える影響を検討した。雌性 4週齢 ddyマウスの大腿骨および脛骨の骨髄液を、10%FBS 含有 αMEM 培地、37°C、5%CO2 条件下で3 日間培養した。その後 PBS 洗浄により浮遊細胞を取り除き、得られた接着細胞をBMSC とした。 マウス骨髄から得た接着細胞集団は、各分化誘導培地で培養後、アリザリンレッド、オイルレッド、アルシアンブルー染色で陽性を示したことから、骨芽、脂肪、軟骨細胞への分化能を有することが示された。さらにフローサイトメトリー解析により、MSC マーカー (Sca-1 および CD105) 陽性の集団が約 18% 存在することが判明した。以上の結果より、本研究で用いる細胞は MSC を含む細胞集団であることが確認された。さらにBMSC の存在率は骨髄中に約 0.01% 以下と報告されているが、本培養方法でその割合を増やすことに成功した。 BMSCにコラーゲン加水分解物(CH)、プロリルヒドロキシプロリン(PO)、ヒドロキシプロリルグリシン(OG)を添加し培養した結果、細胞増殖には有意な差は見られなかったが、骨芽細胞への分化を促進させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2017年4月~8月まで育児休業を取得したため、研究の進捗は少し遅れている。しかし、当初の計画通り、マウス骨髄から間葉系幹細胞を抽出し、3細胞に分化できていることから、今後はこの系を用いて積極的に研究を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の結果、コラーゲン加水分解物は骨髄由来間葉系幹細胞の分化応答性に影響を与えている可能性が示唆された。本年度はBMSCから骨芽細胞への分化の作用メカニズムを検討すると同時に、軟骨細胞および脂肪細胞分化に与える影響も検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
育児休業を4月~8月まで取得し、研究期間が短くなってしまったため。
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