研究課題
骨格の形成や維持に重要なTGF-βファミリーの細胞シグナルは、複数の転写因子Smadによって伝達される。Smadの活性には、転写共役因子Smad4が必須であることが知られている。我々は、出生後の任意の時期にSmad4を欠失できるマウス (Smad4 cKOマウス)を樹立し、骨格制御におけるSmad4を介したTGF-βファミリーの役割を解析した。2017年度の解析から、Smad4 cKOマウスは、骨形成が亢進し海綿骨の骨量が著しく増加していることが明らかとなった。また、2018年度の解析から、Smad4 cKOマウスの骨組織では、Wnt7bの発現が亢進していることが示唆された。よって、2019年度は、Smad4が制御するWnt7bの骨組織における役割について解析を進めた。我々は、新たにタモキシフェン誘導性のSmad4とWnt7bのダブルコンディショナルノックアウトマウス(Smad4;Wnt7b dcKO)を樹立した。Smad4 cKOマウスは、骨量の増加が認められたが、Smad4;Wnt7b dcKOは、骨量の増加を示さなかった。 この結果は、Smad4を介した骨量増加は、Wnt7b活性を介することを示唆する。さらに、Wnt7b cKOマウスの骨格筋組織へ、BMP含有コラーゲンスポンジを移植し、異所性骨に対する影響を検討した。すると、コントロールマウスに比べてWnt7b cKOマウスは、異所性骨量が減少していた。以上の結果から、Smad4を介したTGF-βファミリーと骨形成を強力に亢進するWntシグナルがWnt7bを介しクロストークしている可能性が示唆された。
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Pediatrics International
巻: 62 ページ: 3~13
10.1111/ped.14065