研究課題
本研究の目的は、遺伝子組換えカイコより精製した線維芽細胞増殖因子2(Fibroblast growth factor2, 以下FGF2)融合フィブロインを利用し、より層の厚い移植用ヒト滑膜細胞シートを作製することである。初年度(2017年度)に決定した条件で作製した細胞シートを、培養開始後1週目から200 ng/mlのrhBMP2を添加した軟骨分化誘導培地(DMEM high glucose, 1% ITS mix, 160μg/ml sodium pyruvate, 100 ng/ml dexamethasone, 0.2 mM Asc2-P, 10ng/ml TGF beta-3 )に変更して培養した場合の軟骨分化について評価し、さらに滑膜細胞を播種したFGF2融合フィブロインスポンジと細切軟骨片を共培養した場合の滑膜細胞の増殖能および軟骨分化能の評価を行った。生化学的検討として、DNA量(ヘキストダイによる定量)、プロテオグリカン含有量(DMMB法)、コラーゲン含有量(HPLCによるハイドロキシプロリン量)を測定した。またRNAを抽出し、real-time RT-PCR法によるI, II 型コラーゲン、アグリカン、Sox9の遺伝子発現定量を行った。FGF2 融合フィブロイン群では細胞増殖の促進が認められ、共培養開始時にはHE染色にて対照群と比較して厚い細胞層が形成されていたが、培養中に厚みの差がなくなる傾向にあった。サフラニン-O 染色、抗S100蛋白抗体および抗II型コラーゲン抗体を用いた免疫染色ではほぼ同等の染色性を示した。組織あたりのDNA量は軽度増加、プロテオグリカン含有量、コラーゲン含有量は同等ないしは軽度低下していた。II 型コラーゲン、Sox9発現量は同等であったが、アグリカン発現量は軽度低下していた。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
Cureus
巻: 13(1) ページ: e12570
10.7759/cureus.12570
Oxid Med Cell Longev
巻: 24 ページ: 5649767
10.1155/2020/5649767