研究課題/領域番号 |
17K11034
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
大幸 英至 日本大学, 医学部, 助教 (50468740)
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研究分担者 |
穂坂 邦大 日本大学, 医学部, 助教 (70570737)
徳橋 泰明 日本大学, 医学部, 教授 (80188739)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 変形性膝関節症 / microRNA / 関節注射 |
研究実績の概要 |
変形性膝関節症(osteoarthritis of the knee: 以下OA)は軟骨変性により高齢者の生活の質を低下させ、健康寿命を脅かす代表的な疾患である。高齢化社会を迎えた現在、その罹患率は高齢化に伴い今後さらなる増加が見込まれている。予防や発症・進行の抑制が重要である。現行の治療としてはNSAIDsや非麻薬性鎮痛薬による症候改善薬や疾患修飾性OA薬があるがOAの発症や進行を抑制できる薬は現在のところない。近年、microRNA (miRNA)がOAの発症・進行に関与していると報告が散見されるようになり、様々な疾患においてその発現状態の変異が報告されており、診断マーカーや治療標的として非常に着目されている。OAにおいても、軟骨変性・炎症の程度により特徴的な発現パターンが観察され、診断や予後因子、さらには新規治療薬として研究が開始されている。miRNAは一つで複数の遺伝子発現を同時に標的とするため、破綻した生体ネットワーク全体を正常化することが期待できる。miRNAの中で、我々はOAに対する治療効果が期待できる分子としてmiR-218に着目した。我々は骨肉腫細胞株においてその発現が低下していることを確認した。さらにmiR-218の標的遺伝子にはruntrelated transcription factor (RUNX)、survivin、 MMP-2・9等があり、OAとの関連が予想される遺伝子が複数含まれることを確認した。さらに骨肉腫細胞株MG63にmiR-218を過剰発現させるとRUNX2、survivinが遺伝子レベルと蛋白レベル両方で抑制されることを確認した。 そこで本研究では今後、OAの進行、予防並びに改善のために軟骨細胞にmiR-218の過剰発現ならびに発現抑制しRUNX2を制御することでOAにおける作用機序を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
変形性膝関節症(osteoarthritis of the knee: 以下OA)は軟骨変性により高齢者の生活の質を低下させ、健康寿命を脅かす代表的な疾患である。高齢化社会を迎えた現在、その罹患率は高齢化に伴い今後さらなる増加が見込まれている。予防や発症・進行の抑制が重要であるが、発症病態は複雑なため根治的な治療法は開発されていない。本研究ではmicroRNAに注目しOAの進行、予防並びに改善のためにmiR-218を関節内に投与しRUNX2を制御することでOAにおける作用機序を明らかにすることで臨床応用につなげることを目的としている。そのため動物実験をする前に軟骨細胞レベルでの作用機序を解明する必要がある。そこで本研究では軟骨形成におけるmiR-218とRUNX2・survivinの発現量の変化を確認するためには軟骨細胞株が必要であると考える。本研究に必要な資材、試薬はそろっていたが軟骨細胞株および軟骨細胞培養液を購入したが納期まで大幅に時間を要してしまった。そのため細胞培養を含めた実験を進めることができずにいた。また、臨床検体におけるmiR-218とRUNX2・survivinの発現量を評価するために変形性関節症群のサンプルと正常軟骨のサンプルは収集している。
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今後の研究の推進方策 |
軟骨細胞株ならびに軟骨細胞株の培養液が届いたため、その軟骨細胞株を用いて軟骨分化誘導おけるmiR-218とRUNX2・survivinの発現量の変化を評価する。また、miR-218を遺伝子導入することによる変化量をRT-PCR,Western blotで評価してく予定である。さらに変形性関節症モデルを作成しmiR-218関節注射を施行することで軟骨への影響を評価していく。軟骨への取り込みの確認として蛍光免疫染色にて確認し、さらに軟骨組織を採取し、そこからRNA抽出、RT-PCRにて発現量を検討していく。また、臨床検体におけるmiR-218とRUNX2・survivinの発現量を評価するために変形性関節症群のサンプルと正常軟骨のサンプルは収集しているが検体数が少ないため引き続き収集していく。さらに収集したサンプルからRNAを抽出しRT-PCRにてmiR-218とRUNX2・survivinの発現量を評価する予定である。
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