研究実績の概要 |
メカニカルストレスに対して、軟骨細胞がどのように応答するか、特に「メカニカルストレス応答調節機構」(細胞内のストレス応答蛋白, 細胞応答情報伝達路)、「DNA修復酵素の活性変化」および「細胞エネルギー代謝の調節機構」と「軟骨変性機序」との関連について解析を進め、以下の知見を得た。 1) 軟骨細胞のメカニカルストレス応答蛋白の同定と、ストレス応答機構の変化と軟骨変性との関連を解析: メカニカルストレスに対する軟骨細胞のストレス応答蛋白と応答機構を解析し、メカニカルストレスに対する防御機構としてのストレス応答機構の変化が軟骨変性に関与することを明らかにした。 2) メカニカルストレスに応答する軟骨細胞のDNA修復酵素活性およびエネルギー代謝調節機構の変化: メカニカルストレス条件下の軟骨細胞において、DNA修復酵素(APEX2, Ogg1)の活性と細胞エネルギー代謝・調節機構の変化を解析し、ストレス応答の防御機構としての役割を検証、これらの調節機構の変化・破綻が、軟骨変性の誘因となるか否かを実験的変形性関節症モデルで検証した。 本研究は、変形性関節症の発症に密接に関わるメカニカルストレスに対する軟骨細胞の応答機構の分子メカニズムに着目し、軟骨変性機序との関連について解明を試みる初めての基礎的研究で、軟骨変性の機序を「軟骨細胞のメカニカルストレス応答」と、「DNA損傷修復」および「エネルギー代謝」との関連の観点から詳解し、新規の病因・病態解析および予防・治療法開発研究の糸口を得られた。
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