研究課題/領域番号 |
17K11038
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
金澤 知之進 久留米大学, 医学部, 客員教授 (50529518)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 腱骨付着部 / 3次元構造解析 / 硬組織 / FIB/SEMトモグラフィー / 形態定量解析 |
研究実績の概要 |
正常な腱組織が骨に付着している部位(腱骨付着部)は、物理的剛性の全く異なる骨組織と腱組織を連結しており、運動において強大な力学的負荷がかかる部位である。このような特殊な環境から、整形外科領域において腱骨付着部は炎症性疼痛を引き起こし、その治療に難渋することが知られている。正常腱骨付着部組織は、線維軟骨を介した特殊な構造をしているが、過度な力学的ストレス状態下において、どのような形態変化をなしているのか不明である。本研究では、次世代走査型電子顕微鏡であるFIB/SEMトモグラフィーを用いて、正常と過度に力学的ストレスをかけた状態それぞれの腱骨付着部細胞/コラーゲン線維の三次元超微形態とその分布様式を定量的に解析し、腱骨付着部障害の治療に資する、基盤的な知見を得ることを目的とする。 本年度(平成30年度)は、当初の研究実施計画に沿い、腱骨付着部組織の三次元細胞形態を分類し、その分布様式を解析する為、FIB/SEMトモグラフィーより得られた連続切削画像解析方法の確立に重点をおいて実施した。 FIB/SEMトモグラフィーによる組織形態定量評価方法に関しては、その方法が十分に確立していない。その為、まずは連続切削画像から得られたラット正常腱骨付着部の出生直後と成熟したものそれぞれの細胞形態を定量的に解析し、比較検討を行った。 結果、正常腱骨付着部に存在する細胞群は、出生直後の方が成熟したものより細胞全体の大きさと核の大きさともに統計学的に有意に大きく、その細胞形態も全く異なっていることが明らかとなった。これらの結果は、今回の研究の目的である腱骨付着部障害の治療に資する基盤的な知見を得ることが出来るものである。 本結果に関しては、現在論文執筆中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りではないが、本年度当初の研究目標であった、「FIB/SEMトモグラフィーより得られた連続切削画像解析方法の確立」に関し、依然としていくつかの問題はあるものの、克服できつつある。 また、現在出ている結果に対しては、論文執筆中である。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画にもあったように、FIB/SEMトモグラフィーより得られた連続切削画像から、さらに組織形態定量評価を行う方法を模索していく。この様な方法は十分に確立していない為、得られた数値情報をどのように解析していくのか、検討を重ねていく必要がある。 また、神経損傷モデルの様な、新たな動物実験モデルの作製も行い、腱骨付着部の形態学的な相違も並行して検討していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 実験動物であるラットの購入/維持費、また消耗品の購入に際し、納入期日と支払い日の不一致から、現プロジェクトの進行の妨げになる可能性があると判断したため。 (使用計画) 現プロジェクト維持に最も必要な実験動物の購入/維持、消耗品の購入に充てる。また、学会発表や論文投稿に必要な諸経費に充てる予定である。
|