本研究では変形性関節症(OA)の滑膜におけるタンパク分解酵素の発現機序をシグナル伝達系の半網羅的な解析により探った。はじめにMMP-1、3の発現に関与するシグナル伝達系について検討し、これらの発現にAkt、c-Jun、ERKのリン酸化が関与するという結果を得た。この結果は、これらのMMPがマトリクスの変化に伴う線維芽細胞の活性化により産生されるという研究当初の仮説を支持するとともに、他の機序の関与も示唆するものであった。次いでOAの滑膜においてウロキナーゼの発現に関与するシグナル伝達系を探ったが、研究期間内に有意の知見を得ることができず、この解明は今後の課題と考えられた。
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