研究課題/領域番号 |
17K11043
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
堀口 剛 秋田大学, 医学部附属病院, 准教授 (70221570)
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研究分担者 |
真崎 容子 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (30125744) [辞退]
山本 夏子 (工藤夏子) 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (40771514)
西川 俊昭 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (50156048) [辞退]
藤井 聡 山形大学, 医学部, 教授 (80173384)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 術後認知機能障害 / 硫化水素 / シナプス可塑性 / NMDA受容体 |
研究実績の概要 |
硫化水素は有毒ガスとして知られているが,近年微細な硫化水素が生体内で産生され,抗アポトーシス作用や神経障害性炎症性サイトカインの抑制,アルツハイマーモデルでの病状進行抑制を示すことなどが報告されている。 また,海馬におけるシナプス長期増強(LTP)誘導促進やNMDA受容体のグルタミン酸感受性を増大させるという報告もある。 本研究は「老化した脳では,麻酔・手術により脳内の硫化水素の産生・作用機序の異常が起こり認知機能低下を長期化させる」という仮説を検証することを目的としている。 実際、硫化水素を投与した高齢ラットで術後認知機能低下が抑制される傾向が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度からの壮年SDラット(約7ヶ月)を用いた硫化水素の至適投与量決定のためのpilot study(硫化水素0.05mg/kg)では,麻酔・手術後の学習・記憶行動試験(恐怖条件付け試験,モリスの水迷路試験)において両群に明らかな差は認められなかった。 高齢ラット(18ヶ月前後)を用いて硫化水素投与群(n=3)と非投与群(n=4)では,麻酔・手術後の認知機能は硫化水素非投与群に比べて投与群で術後22日目のモリスの水迷路遊泳距離が短く(p=0.0571),術後28日目の恐怖条件付け試験の文脈学習ですくみ時間が長くなる(p=0.0571)傾向が見られた。 個体数を増やせば有意差が出る可能性が十分あると考えている。また,2018年11月に共同研究者である山形大学生理学教室に高齢ラット3匹を移送し,海馬LTP測定が可能であることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
高齢ラットにおける硫化水素投与群と非投与群の個体数を増やす。2019年6月には再度ラットの海馬LTP測定を行う予定である。 また,現在硫化水素のスカベンジャーであるヒポタウリン投与群を作成し検討したい。 硫化水素投与により術後認知機能低下が抑制されることが明確になった場合,NMDA受容体阻害薬を用いて硫化水素の効果がNMDA受容体とどのように関わっているのかを検証したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
高齢ラットを作成するため計画的にラットを購入していたが、次年度のラットの購入を考えた場合、研究に必要なラットが次年度は7匹不足する。このため26,207円を次年度に繰り越した。
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