研究課題/領域番号 |
17K11044
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
古藤田 眞和 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (30530133)
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研究分担者 |
石山 忠彦 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (90293448)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アミオダロン / 虚血低酸素 / ナトリウムチャネル |
研究実績の概要 |
本年度は虚血低酸素脳症モデルを用いてアミオダロンの脳障害への作用を検証した。虚血低酸素脳症は、左総頚動脈結紮と25分間もしくは40分間の吸入酸素濃度8%環境への暴露にて作製した。40分間のモデルでは7日間の神経学的機能および生存率を、25分間のモデルでは組織学的評価を中心に行った。虚血低酸素暴露直後にアミオダロン50mg/kgを投与した群では、コントロール群と比較し有意に神経学的欠損スコアが高く、7日間死亡率が高かった。心拍数や血圧などの循環動態には両群で有意差はなかった。TTC染色による組織学的評価および、誘導プラズマ発光分析により、アミオダロン投与により脳梗塞体積、ナトリウムおよび水分の組織中の含有量が有意に大きくなることが示された。さらに、アミオダロンを投与したマウスにおいて、腹腔内注射などの疼痛刺激に対する反応が弱くなり、また全身麻酔の必要量が軽減されることに着目し、各種疼痛試験を用いてアミオダロンの鎮痛作用についても併せて検証を行い、アミオダロン50mg/kg以上の投与により有意に疼痛反応が抑制されることを示した。これらの結果は国際学会(American Society of Anesthesiologists Annual Meeting 2018およびInternational Association for the Study of Pain 2018 World Congress on Pain)にて発表し、論文執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね計画通り虚血低酸素脳症モデルを用いてアミオダロンの脳障害への作用の検証実験を行った。
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今後の研究の推進方策 |
虚血低酸素暴露後のアミオダロンの投与では脳障害が悪化することが示され、脳組織内のナトリウムおよび水分貯留が関与している可能性が示された。今後はメカニズムに関しての検証を行う。研究結果に関しては適宜学会で報告および論文化する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
組織学的評価のための消耗品(スライドガラスやミクロトーム替刃など)の消耗品の追加購入が不要であった。これらの物品は次年度で必要となるため購入して使用する予定である。
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