ラットのcranial windowを用いて、acetylcholineの脳窓内投与によって起こる血管内皮依存性の脳血管の反応を観察し、麻酔薬が血管内皮に与える影響を検討した。 1) 正常血糖下ではdesflurane麻酔下でもpropofol麻酔下でもacetylcholineによる血管拡張反応は保たれていた。2) 高血糖状態では脳血管拡張反応はpropofol麻酔下では保たれていたが、desflurane麻酔下では阻害された。3) propofolの基質であるintralipid投与下でも脳血管拡張反応は保たれた。4)normocapniaでは1 MACのdesflurane、sevoflurane共に脳血管を拡張した。5)hypercapniaでは1 MACのdesflurane、sevoflurane共に更に脳血管を拡張した。6) desfluraneとsevofluraneの脳血管拡張反応の程度は同等であった。 血中二酸化炭素分圧がの血管に与える影響に対して吸入麻酔薬がどの様に影響するか検討した。 1) 血中の二酸化炭素分圧が正常範囲内であれば、desflurane麻酔下でもsevoflurane麻酔下でも脳血管は麻酔薬の濃度依存性に拡張した。2) 高二酸化炭素血症状態では、脳血管は有意に拡張し、desflurane麻酔下sevoflurane麻酔下共に、脳血管拡張は更に増強された。3) Desflurane麻酔下とsevoflurane麻酔下では拡張の程度に差はなかった。
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