研究課題/領域番号 |
17K11049
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
宮部 雅幸 三重大学, 医学系研究科, 教授 (60145589)
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研究分担者 |
亀井 政孝 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (60443503)
島岡 要 三重大学, 医学系研究科, 教授 (40281133)
坂本 良太 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (10581879)
坂倉 庸介 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (50608940)
川本 英嗣 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (20577415)
伊藤 亜紗実 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (80740448)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 気管挿管 / モーションキャプチャ / ディープラーニング / 臨床手技教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、気管挿管手技動作を3Dモーションキャプチャによってデジタル数値情報として定量化し、熟練医師と初学者の身体運動の差異を客観的に評価・解析する方法を確立することを目指している。気管挿管ダミー人形を用いモーションキャプチャで挿管動作のデータセットを構築した(麻酔科専門医n=13, 初期研修医 n=13)。従来の仮説検証型の人的アプローチによる解析を実施し、動きの“しなやかさ”の指標である加速度の時間微分値(躍度)が、熟練医師の方がしなやかであるとの結果を得、現在論文投稿中である(Sakakura Y, et al. Biomechanics Profiles of Tracheal Intubation: A Mannequin-Based Study to Objectively Assess Clinical Skills by Expert Anesthesiologists and Novice Residents PLosOne)。さらに、従来型解析とは異なるディープラーニングによるAI的アプローチでの解析を実施した。2クラス分類問題として従来から人工知能にもよく用いられているSupport Vector Machine (SVM)の利用、および近年注目されているDeep Neural Network (DNN)を用いた分類を試みた。単純に手先の軌道を比較した場合、個人差が大きいことが確認でき、麻酔科専門医対初期研修医での比較は難しいものと思われた。そこで身体各部の位置、速度、加速度、角速度を元に特徴ベクトルを試行錯誤し、一定時間毎の統計的特徴量を元にしたSVM、DNNそれぞれで麻酔科専門医、初期研修医の判別は可能といえる結果を得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず麻酔手技の定量化へのステップとなるよう、麻酔科専門医、初期研修医2群の医師に対するモーションキャプチャデータ収集を行えた。また、さらに定量化に向けたステップとなるよう、初期研修医の中でも配属直後と1か月後とのデータを同一人物で対応させてデータ取得を行えた。ただしまだ数は少ないため今後もさらにデータ取得を行いたい。 取得したデータを元に、人工知能で用いられる手法で分類を行う手順を検討し、結果的に熟練者か否かを判別させるまでの道筋は見いだせた。
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今後の研究の推進方策 |
現在、SVM、DNNの特徴ベクトルは試行錯誤を元に仮に定めたものである程度の結果を得られているが、麻酔手技において手の位置、速度、加速度といったうちどのような物理量に巧拙が出ているものか、機械学習手法での判別過程をより詳細に検証し、技量のモデル化を進める必要がある。それにより今後は量的な評価法を確立させる。 最終的には、臨床実地データを集積し、妥当性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)初年度ということもあり、必要な人体装置や解析ソフトを模索しながら研究を進めていたため。 (使用計画)今後の方向性が明らかになってきたので、臨床動作のデータ取得に必要な人体装着機器や解析ソフトを購入するほか、学会出席のための旅費、海外文献翻訳費用として使用することを計画している。
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