敗血症時にはサイトカインが産生されシグナルとして組織・臓器障害を進展していく。本研究では初期にTNF-αとIL-6の2つの炎症性サイトカインと、相反する抗炎症性サイトカインであるIL-10について検討した。培養した腎尿細管細胞において測定12時間前と24時間前にこれら3種のサイトカインをそれぞれ培養液に添加し、ミトコンドリア酸素消費量は細胞外フラックスアナライザーFXpを用いて測定を行った。長期のTNF-α刺激ではミトコンドリア機能障害を引き起こすことで逆に酸素消費量低下をきたすことも報告されている。病態が時間経過とともにダイナミックに変化していく敗血症において、時間経過におけるサイトカインの作用を解明した。また全身性に作用するIL-6と抗炎症サイトカインIL-10のミトコンドリア機能への関与をTNF-αとの相違を中心に検討した。TNF-α刺激腎細胞における電子伝達系・解糖系に対するα及びβ受容体作動薬の作用解析TNF-αによって生じる細胞内酸素消費量増大が電子伝達系・解糖系にどのように関与しているかを検討し、この病態に対する各受容体作動薬の影響を解明した。フラックスアナライザーは酸素消費量のみならず、アデノシン三リン酸(ATP)産生量、プロトンポンプリークについても測定が可能である。これらの測定結果を総合的に検討することで、ミトコンドリアで消費された酸素がATP産生に有効利用されているのかを知ることができる。ATP産生量は通常安定している。受容体拮抗薬は抗炎症作用、抗酸化作用などを介して心臓だけでなく、腎保護効果も有すると言われている。本研究ではサイトカイン刺激時におけるβ受容体拮抗薬の腎保護効果を明らかとしたが、生理活性が大きくことなるので、それぞれの選択制および非選択制の受容体拮抗薬について検討しした。
|