研究課題/領域番号 |
17K11058
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
水野 祐介 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (80433192)
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研究分担者 |
古賀 資和 横浜市立大学, 医学部, 助教 (00637233)
渡辺 至 横浜市立大学, 医学研究科, 客員教授 (20534142)
川上 裕理 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 講師 (90407958)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | protein kinase D / 血管収縮 / MYPT1 / actin |
研究実績の概要 |
ラット血管におけるprotein kinase D(PKD)を解明するため、血管リング標本、培養平滑筋細胞、ラット生体を用い検討を行った。ラット大動脈のnorepinephrine刺激収とPKD活性化はPKD 阻害薬CRT006616により用量依存性に抑制され、またCRT006616の静脈内投与により血管抵抗低下と血圧低下した。ラット大動脈においてnorepinephrin刺激によるMYPT1およびミオシン軽鎖のリン酸化をCRT006616が阻害することも観察した。しかしRhokinase 阻害剤による同程度の血管収縮抑制時に比較して、CRT006616による収縮抑制中はMYPT1のリン酸化抑制は小さかった。PKDの活性化はPKC阻害剤、ROCK阻害剤で抑制されなかった。 一方で、CRT006616はactin polymerization を部分的に抑制したことから、PKDは少なくともMYPT1のリン酸化及びactin polymerizationを介し、血管収縮に関与している可能性が示唆された。またCRT006616は細胞内カルシウム濃度に影響を与えなかった。 そこで、PKDのより選択的な抑制の影響を検討するため、血管平滑筋培養細胞を用いてPKDの3つのisoformをsiRNAを用いてノックダウンした。その結果、PKD1ノックダウンしたヒト大動脈平滑筋細胞ではMYPT1のリン酸化が抑制されたが、PKD2をノックダウンした細胞では抑制されなかった。PKD1はMYPT1のリン酸化を介して、またactin polymerizationにも影響し、血管平滑筋の収縮に関与している可能性が示された。 肺高血圧モデルにおけるPKDの役割の解明も検討したが、PKD活性化経路の探求を進めることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PKDの血管収縮における役割の解明を、ラット血管リング標本、培養平滑筋細胞、生体循環動態において検討し、おおむね実験を行った。
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今後の研究の推進方策 |
PKDの活性経路がPKC,ROCK非依存性である可能性が示されたことから、PKD活性化の機序について検討を進めることとした。このため、培養平滑筋細胞、血管リング標本による実験を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
緊急事態宣言により研究助手の出勤等が制限され、大学としてこの間は研究が規制された。予定されたリング標本における実験、病理組織的検討等がこの間に行えず、遅れを来した。
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