研究課題/領域番号 |
17K11059
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
渡辺 至 横浜市立大学, 医学研究科, 客員教授 (20534142)
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研究分担者 |
古賀 資和 横浜市立大学, 医学部, 助教 (00637233)
水野 祐介 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (80433192)
川上 裕理 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 助教 (90407958)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 肺高血圧 / exosome / microRNA / drug delivery / 間葉系幹細胞 |
研究実績の概要 |
遺伝子転写後調整を担うmicroRNA(miRNA)は、様々な臓器の恒常性維持、疾病発症において中心的役割を担うことが明らかになりつつある。miRNAsと肺高血圧症の関係も報告されているが混沌としており、肺高血圧におけるmiRNAの機能解明が早急に求められている。一方で、その機能の解明、治療へ応用には、不安定なRNAを肺組織に局所的、安定的にデリバリーする必要があるが、確立された手段はない。 間葉系幹細胞MSCは、放出するexosome内のmiRNAによって遺伝子転写後調整を行うことが明らかになってきた。更にMSCは障害部位ホーミング効果を持ち、静脈注射で肺にトラップされるため、肺へのmiRNAデリバリーとして有用と考えられた。そこで本研究は、肺高血圧モデルにおけるmicroRNAをスクリーニングの上、保護的microRNAs、または障害促進性microRNAのdecoyRNAをMSCに過剰発現させ投与し、肺へのドラッグデリバリー効果とmiRNAによる肺高血圧治療を検討するものである。
第一にコントロール実験として、正常、およびモノクロタリン誘発肺高血圧ラットを用い、MSCの静脈内投与の影響を検討した。培養MSCをラットへ静注し、肺高血圧が完成する28日後に各ラットにおいて、血行動態等の観察を行った。その結果、MSC投与は正常ラットに影響を与えず、また肺高血圧ラットいおいても肺高血圧、右心不全等の改善は見らなかった。両群ともMSCによる循環動態、体重、右心重量への有意な影響は見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
間葉系幹細胞MSCのコントロール実験を行ったが、予定された肺高血圧ラットにおけるmiRNA発現のスクリーニング実験は終了していないため。
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今後の研究の推進方策 |
ラットへのナイーブ培養MSC投与による循環動態の基礎データを取得するとともに、肺高血圧ラットにおいて、肺組織におけるmicroRNAのスクリーニングを行う。その結果をもとに当モデルにおけるターゲットとなるmiRNAを選定し、miRNA発現MSCを作成していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
microRNAのスクリーニングの前に、MSCの静脈内投与による基礎的実験を行ったため差額が生じた。今後は計画されていた、ラット肺高血圧モデルの肺組織におけるmicroRNA発現のスクリーニングを行い、ターゲットを絞り込む予定である。
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