研究課題/領域番号 |
17K11064
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
下村 泰代 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (80534031)
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研究分担者 |
西田 修 藤田医科大学, 医学部, 教授 (20208185)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 好中球細胞外トラップス / Autophagy / トロンボモジュリン / 多臓器不全 / 敗血症性DIC |
研究実績の概要 |
集中治療室の重症患者を対象に、好中球のAutophagyの発現の検討を行った。対象患者16名のうち13例にAutophagyの活性を認めた。興味深いことは、この13例に関しては病態の改善傾向を認めたことである。これまでの報告では、重症患者ではAutophagy活性は不活性しているとあるが、今回の結果から、病態急性期におけるAutophagyの活動が一過性に抑制されても、Autophagyが活性化してこれば病態改善が期待できることが予測された。動物モデルでは、LPS誘導型敗血症モデルマウスを使用し、DIC治療薬であるリコンビナントトロンボモジュリン(rTM)の効果を検討した。敗血症発症前にrTMを投与するという実験系では実際の臨床現場では現実的でないため、以前よりLPS投与後にrTMを投与する(後投与)方法を採用しており、LPS投与後72時間で50%しかない生存率が、rTM後投与群では100%に改善することを報告している。敗血症性DICの病態悪化の原因の一つにサイトカインストームや多臓器不全がある。rTM後投与の有無で血中のサイトカイン濃度を測定した。rTM後投与はこれらのサイトカイン濃度の上昇を認めなかった。また、本研究のテーマであるNeutrophil Extracellular Traps (NETs)形成は、多臓器不全のターゲット臓器である肺と肝臓、腎臓で評価した。NETsの構成成分であるヒストンの蓄積状態で評価ところ、rTM後投与群では、これらの臓器でヒストンの蓄積は抑えられた。以上の結果からLPS誘導型敗血症モデルマウスにおけるrTMによる生存率改善には、サイトカインストームの抑制と各種臓器でのNETs形成抑制効果によるもではないかと推測できた。本研究費を用いて結果を論文発表し、世界に情報公開することができた。
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