研究課題/領域番号 |
17K11066
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
遠藤 康弘 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (40375051)
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研究分担者 |
杉野 繁一 東北大学, 大学病院, 助教 (00423765)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | PONV / ゲノムワイド関連分析 / 長鎖非翻訳RNA / SNPs |
研究実績の概要 |
2018年度前半は,in silico解析を行った.前年度までに同定したMIR4300HG遺伝子のrs11232965-SNPに関して,同部位を含む塩基配列をRegulomeデータベースで検索し,転写因子結合部位を予測した.10塩基配列がHIF1転写因子のmotifであることが明らかになった.さらにHIF1についてその表現型をHuman Phenotype Ontologyデータベースで,検索したところ,HIF1A遺伝子は15種類の表現型と関連してり,HIF1B遺伝子は113種類の表現型と関連していることが明らかになった.そのうちの1つに異食(パイカ)があった.パイカはラットやマウスで嘔吐の代替行動として広く知られ,長鎖非翻訳RNA遺伝子の多型とPONVとの関連を示唆する証左と思われた.この知見からわれわれはさらに研究を発展させるため,2018年度後半はラットを用いてパイカを観察することにした.実験には合計13匹のラットを用いた.様々な実験条件でパイカ行動を惹起してみたが,あまり有意な結果を見いだせなかった.パイカ行動実験の研究戦略をさらに検討するために東北大学病院で新たに購入したdroplet digital PCRでラット脳の遺伝子発現実験を行った.しかしながらやはり有意な結果を見いだせなかった.そこでパイカを嘔吐の代替とする仮定が術後悪心嘔吐については無理があるかもしれないと考え,次年度は嘔吐するモデル動物スンクスを用いて研究を進めることにした.モデル動物化されたスンクスは本邦では和歌山県の(株)紀和実験動物研究所でのみ飼育・維持されているので,東北大学で購入・維持のために環境の整備を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定より1年早く研究が遂行できている.現在,国際誌への投稿論文を準備中である.
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今後の研究の推進方策 |
2019年度はスンクスを購入・飼育して術後悪心嘔吐モデルを作成の上,スンクスのゲノム上の長鎖非翻訳RNA遺伝子候補配列の中でMIR4300HGと似た配列があるか検索してゆきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
配分された予算は有効に使用し,わずか3,672円のみが余ることになった.この余剰で実験動物購入費の一部として使用する予定である.
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