研究課題
TRPVチャネルの活性化は、細胞内にCaイオンを流入させ、細胞内の一酸化窒素合成酵素を活性化し、NO産生から、NO依存性の酵素活性(グアニレートシクラーゼなど)を介して生理的作用をもたらす。NO―CGMP系の賦活は、慢性および急性の肺高血圧の治療に使用されている。最近、肺循環においても、TRPVチャネルの存在が発見された。そこで、肺高血圧では、TRPV4の発現が増加してTRPV4刺激に対し、肺動脈圧が亢進しやすくなっていると仮説した。結果として、Sugen肺高血圧モデルでは、TRPV4による刺激により肺動脈が収縮しやすくなっている事実を発見した。結果の概要:1.ラットの血管内皮増殖因子(VEGF)受容体阻害薬SU5416(20mg/kg)を投与下に慢性低酸素暴露を行って作成したSugen肺高血圧ラットの摘出肺動脈では、TRPV4刺激薬による収縮が、正常ラットに比し、亢進していた。2.慢性低酸素暴露肺高血圧ラットモデル(1/2気圧14日間暴露)の摘出肺組織では、低酸素暴露開始から7日までは、TRPV4mRNAの発現亢進を認めなかったが、14日後には、発現亢進が認められた。3.モノクロタリン(MCT)(60mg/kg一回投与)によるMCT肺高血圧ラットの摘出肺組織のTRPV4mRNAでは、投与前、投与後、3、7、16、21日後で、有意差を認めなかった。4.BMPR-2のノックアウトラット(BMPR-2KO)の摘出肺組織のTRPV4mRNAは、正常ラットと差を認めなった。5.BMPR-2KOラットと正常ラットにMCTを投与したところ、投与21日後の肺動脈圧に差を認めず、摘出肺組織のTRPV4mRNAレベルに差を認めなかった。6.MCT肺高血圧モデルにおいて、高1回換気量による人工呼吸は、急性肺障害を起こすが、摘出肺組織のTRPV4mRNAレベルは低1回換気量群と差を認めなかった。
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