敗血症時に発生する脳の炎症性変化と機能障害は、臨床的に“敗血症性脳症”と呼称され、集中治療室に入室する敗血症患者の実に50-70%に発生すると報告されている。一方、中枢神経系のもうひとつの構成臓器である脊髄については、敗血症時の変化に関する報告はほとんど行われておらず、脊髄の炎症変化に関する報告のほとんどは、神経変性疾患時の慢性炎症や外傷性の脊髄損傷時に発生する炎症性変化についてのものである。敗血症の際に、脊髄にサイトカインをはじめとする炎症性メディエーターがどのように誘導されるかを分子生物学的に解析し、またこれらの炎症反応が脊髄に生じうる形態変化を評価した。
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