研究課題/領域番号 |
17K11077
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
井口 直也 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00372623)
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研究分担者 |
内山 昭則 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (00324856)
藤野 裕士 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50252672)
酒井 佳奈紀 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (90647504)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 急性腎傷害 |
研究実績の概要 |
今年度は研究計画調書に記載した研究目的1-4のうち1,2,3、腎髄質酸素分圧・尿中酸素分圧の関係の検討を引き続き大動物モデルで行い、論文発表を行った。昨年度の研究実績で途中経過を述べた利尿薬(ループ利尿薬)の検討については、病的状態では利尿薬の腎局所灌流・酸素分圧への影響が正常時と全く異なることを明らかにし、病的状態・正常時ともに腎髄質酸素分圧の変化に尿中酸素分圧がよく追従することを示した。病的状態でのループ利尿薬の結果は論文として出版した(筆頭著者)。正常時でのループ利尿薬の結果は現在論文投稿準備中の段階である。また昨年度、本研究に関わる大きな因子となる全身麻酔薬の腎への影響を詳細に検討し、全身麻酔が腎臓全体・局所の灌流状態へ大きな影響を与えること、また麻酔薬の種類により腎の灌流状態への影響が異なることを明らかにし論文発表を行った(筆頭著者)。今年度はさらに人工心肺中での静脈麻酔と吸入麻酔の腎臓全体・局所の灌流状態への影響を検討し、論文発表を行った(共著者)。これは昨年度の報告書で述べた、心不全患者で時に必要になる人工心肺中についての検討(人工心肺中は腎髄質酸素分圧が低下すること、さらに人工心肺中に介入することにより腎髄質酸素分圧の低下の予防あるいは改善が可能できること)と併せて、人工心肺使用後の急性腎傷害予防の有力な方策となる可能性がある。さらに心不全患者において適切な鎮静は重要であるが、鎮静薬についても検討を行った。今後は臨床研究を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
心不全患者で一般的に利用される利尿剤、人工心肺、全身麻酔、鎮静薬の尿中酸素分圧と腎髄質酸素分圧への影響、急性腎傷害の関係を検討し論文発表を行った。この検討は今後の基礎的データの取得、交絡因子の検討を容易にするため必要であった。論文作成に時間を必要とした。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書に記載した心不全患者で使用される代表的な利尿薬であるループ利尿薬の腎髄質酸素分圧・尿中酸素分圧への効果の動物での検討は終了した。現在は臨床研究の準備を行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
最も大きな支出は酸素分圧測定用モニターであるが、今年度は動物実験のデータ整理、論文執筆が主であり、次年度使用額が生じた。来年度以降は臨床での検討を予定しており、酸素分圧測定用モニターの購入が必要である。実際、2020年度に入り購入手続きを進め、本報告書作成時点で既に購入済みである。
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