研究課題/領域番号 |
17K11095
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
黒岩 政之 北里大学, 医学部, 講師 (60306561)
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研究分担者 |
阪井 茉有子 北里大学, 医学部, 助教 (80648767)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 深部静脈血栓症 / 予防方法 / 電気的筋刺激 / 最高血流速度 / 血管内容量 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、深部静脈血栓症予防として電気的筋肉刺激(以下EMS)の効果の有無を調べることであった。そこで市販価格3000円前後の家庭用電気的筋肉刺激装置を用いて、下肢血流速度、および血流量の変化を超音波診断装置を用いて評価した。 健常ボランティア20人を対象にEMS装着前,装着2分後,装着10分後の膝窩静脈と大腿静脈の最高流速および血流量を測定した。 安静臥床時と比べて、EMS装着5分後から膝窩静脈の血流速度は有意に上昇し、10分後には膝窩静脈と大腿静脈の両方の最高血流速度が有意に上昇した。大腿静脈は血流量も増加することがわかった。 EMSの装着により最高血流速度が上昇し、血液流量も増加することから、下肢血流が改善することが分かったため、過去の研究論文の結果を用いて演繹的に推論するならば、本研究でもちいた、家庭用のEMSは、下肢の深部静脈血栓を予防する効果があるといえる。 上記結果及び考察を含めて英語論文に取りまとめ、現在、Medical Engineering & Physicsに投稿中である。 また結果を発表予定であった第47回日本集中治療医学会は昨今の新型コロナウイルスによる影響で開催中止となったため、演題を取り下げている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の一部は論文投稿まで行ったが、アクセプトはまだで、現在アンダー・レビュー中である。 また、臨床現場で非劣性を証明する予定であり、倫理審査途中である。
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今後の研究の推進方策 |
健康ボランティアを対象に行ったプロセスでは、仮説通り、EMSは下肢の血流を改善するが、実際の医療における有用性を示すには、多くの手続きを踏まなければならない。一方で、新型コロナウイルスの蔓延時期にある事から、すべての事務手続きが遅延する可能性がある。 対応策としては、実施するN数を減らしたり、対象の基準を広げたりして、速やかに実施して終了できるようにする。 また、現在までに得られている結果をしかるべき学術集会で発表予定だが、上記理由で開催延期等が続いており、現在、模索中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスまん延による学術集会中止により、発表に要する費用等が使用できなかったため。 これに関連して論文査読も大幅に遅れていることから、再審査等にかかる費用(再統計処理の指示、再英文校正など)も見込まれる。
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