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2017 年度 実施状況報告書

実験的脳梗塞モデルを用いた神経保護作用と中枢痛(視床痛)改善の検討

研究課題

研究課題/領域番号 17K11102
研究機関筑波大学

研究代表者

清水 雄  筑波大学, 医学医療系, 講師 (70436278)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード実験的脳梗塞 / TRPM2 チャネル
研究実績の概要

新規に購入した実体顕微鏡を用いて実験設備(マウスの手術を行う)をセットアップを行った。実験的脳梗塞(MCAO)の結果は、手術環境によるばらつきが大きいため、これをなくすことが重要であった。そのため、この点に時間がかかった。
今回はTRPM2チャネルを介して神経細胞死に影響することが考えられる薬剤AGK2の検討を開始した。AGK2は全脳虚血ではTRPM2チャネルをブロックし、神経保護作用を示したものの、MCAOには無効であったという報告がある。そこでこれを検討した。イソフルランで麻酔をしたオスとメスの野生型マウス(8-12週)を用いた。外頚動脈から挿入したフィラメントを内頚動脈に導き、中大脳動脈の血流が減少するのをレーザードップラーを用いて確認した。60分の脳部分虚血の後、フィラメントを引き抜き血流を再開させた。そのタイミングでAGK2 10 mcg/kgまたはコントロール(体重比で同ボリューム)を投与した。これは脳虚血発症後60分での投与を意味する。3日後に脳を取り出し、1.2% TTCを用いて染色し、脳梗塞の大きさをNHI Image Jを用いて解析した。オスでは28+/-6% (AGK2)と42+/-2% (コントロール)で有意差があった。しかし、メスでは22+/-9% (AGK2)と26+/-6% (コントロール)で有意差がなかった。これは他のTRPM2を阻害した時と同様の結果だった。
脳梗塞の視床痛を確認しようとしたが、確認することが困難であった。そのため、坐骨神経部分結紮モデルを用いた神経因性疼痛でTRPM2チャネル阻害効果を試みた。しかし、今回行った実験での解析では効果を認めなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

脳梗塞後視床痛への影響を検討する予定であったが、それが行えていない。脳梗塞後の神経痛はヒトであっても少ないとされるが、今回行えた動物数では、マウスでも観察できなかった。そのため、その前段階として、坐骨神経部分結紮モデルを用いた神経因性疼痛の実験を行った。神経因性疼痛にTRPM2チャネルが関与しているという報告もあるため、虚血モデルではTRPM2阻害が有効であるオスマウスを用いた。イソフルランで麻酔後、坐骨神経を同定し、後方1/3-1/2を6-0ナイロンで結紮した。皮膚縫合終了時にコーン油に溶かしたクロトリマゾール30 mg/kgまたはコーン油(体重に対して調整)を投与した。1、2,3、6、7週後にvon Freiフィラメントを用いて疼痛閾値を調べた。1週間目での測定では閾値に差がある傾向にあったものの、その後は有意差がなかった。しかし、そもそものnaiveの時の疼痛閾値にばらつきが大きいため、解析方法も含めて再検討が必要となった。

今後の研究の推進方策

MCAOモデルに関しては、実験動物数を増やして結果の再確認をしていく。それと同時に脳梗塞後のマウスに神経因性疼痛が生じているかも確認を続けていく。末梢神経を傷害した神経因性疼痛に関しては新しいモデルを検討する予定である。部分結紮モデルにかわり、坐骨神経全体を細いポリエチレンチューブで包み込むカフモデルを用いる。これにより、個体ごとの神経損傷のばらつきは除けると考えている。傷害を与えたのちにvon Freiフィラメントのみではなく、ホットプレートも導入し、閾値を測定する予定である。

次年度使用額が生じた理由

使用した動物数が少なかったこと、またそれによる解析ができなかったため、試薬を購入する額が減少したから。次年度に動物を購入し、試薬等も購入する予定である。

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公開日: 2018-12-17  

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