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2018 年度 実施状況報告書

両側後根付き脊髄スライスを用いた高速画像解析法による神経障害性疼痛発生機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K11104
研究機関新潟大学

研究代表者

馬場 洋  新潟大学, 医歯学系, 教授 (00262436)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードCa2+イメージング / 成熟ラット / 脊髄スライス / 神経障害痛モデル / 両側後根刺激
研究実績の概要

平成30年度の前半は新しい灌流システムの作成や実験室の移動に伴って生じた機械類の修理を終わらせることができた。その後、本来の計画である成熟動物からの細胞内Ca2+イメージング法の方法論の完成に取り組んだ。試行錯誤を繰り返し、以下のことがスライスイメージング法を成功させる上で重要なことがわかった。まず、これまでの電気生理と同様の方法で脊髄横断スライスを作成した後、染色前に十分に酸素化し、27-28℃の体温より若干低い温度の人工脳脊髄液で約1時間灌流すること。Ca2+指示薬はRhod-2が良いこと。Rhod-2の濃度は0.33mg/ml程度が良いこと。Rhod-2による染色時間は最低でも90分必要であること。染色中もO2+CO2の混合ガスで十分にバブリングを継続すること。染色液の温度は20℃程度が良いこと。光学的測定はフォーカスをスライス内部に合わせるのではなくスライス表層に合わせることが重要であること。
以上の条件下で、左右の腰椎L5後根を同時に電気刺激し、左右とも同様の反応(蛍光強度の変化率)が生じることを確認した。次に、片側坐骨神経損傷モデルラットから同様の方法で左右後根の同様に刺激を行った。
これまで、神経損傷により脊髄後角細胞の興奮性が増加すると考えられてきたが、細胞内Ca2+イメージング法による興奮性の変化を調べた限りでは、これまでの仮説は間違いであり、むしろ神経障害側で脊髄後角細胞の興奮性は低下していることが示唆された。ただし、実験回数は十分ではなく、さらなる検証が必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成29年度は実験室の移転とそれに伴う機械類の故障、及びその修理によりほとんど実験ができなかった。平成30年度の前半は新しい灌流システムの作成や機械類の修理を終わらせることができ、後半には実験を再開することができた。平成30年度の終わり頃にはスライスの作成法・染色法・至適灌流温を決定することができ、神経障害性疼痛モデルラットからのデータ取得に着手することができた。データ数がまだ少ないため、当初計画していたほどには達していないが、研究全体としてはおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

今後は当初の計画通り実験を継続してデータ数を増やし、神経障害側の脊髄後角細胞の興奮性を正常側の興奮性と比較して、神経障害側の脊髄後角細胞の興奮性が末梢神経損傷によって亢進するというこれまでの仮説が本当に正しいのか、検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

平成30年度の未使用額が1,290,529円であり、令和1年度に支給される800,000円と合わせると令和1年度には2,090529円使用可能となる。このうち、1,555,200円は初年度に購入予定であったネオリニアスライサーに使用予定である。これを最終年度に購入する理由は令和1年度には多少の値引きが予定されているという情報を得ていたためである。残りは535,329円となるが、これは動物代と試薬代に使用予定である。使用計画としては初年度に購入予定であったものが最終年度に移行しただけであり、適切で計画的な使用と考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 臨床濃度のメサドンは脊髄後角浅層部細胞の興奮性を強く抑制するが、NMDA受容体チャネルには作用しない - 細胞内Ca2+高速イメージング法とホールセルパッチクランプ法を用いた検討 -2019

    • 著者名/発表者名
      馬場 洋
    • 学会等名
      第66回日本麻酔科学会

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公開日: 2019-12-27  

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