研究課題/領域番号 |
17K11107
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
中西 美保 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (40382048)
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研究分担者 |
吉岡 芳親 大阪大学, 先導的学際研究機構, 教授 (00174897)
中江 文 大阪大学, 生命機能研究科, 特任教授(常勤) (60379170) [辞退]
小山 なつ 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (50135464)
岸田 友紀 大阪大学, 医学系研究科, その他 (20423163)
萩原 圭祐 大阪大学, 医学系研究科, 特任教授(常勤) (60423183)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 慢性疼痛 / 脳の可塑性変化 / 脳MRI / マクロファージ |
研究実績の概要 |
2年目の平成30年度は、初年度に引き続き、慢性疼痛モデルの脳の可塑性変化を脳MRIで検証した。初年度から引き続き、痛みモデルとして、術後痛モデル(足底皮弁モデル)を用いて、ME-MRIで評価した。ME-MRIは、神経投射描出のみならず、Caチャネル活動に基づく脳, 神経活動部位を積分値で描出できる新しいMRI撮像法である。その結果、視床や第三脳室周囲においてマンガンの取り込みが多く神経活動が高い傾向はみられる個体もあったが、情動や記憶と関連のある扁桃体や海馬などを含め、脳領域における再現性がある明らかな変化が捉えられなかった。そこで、本年度は、重度の痛みを発症する、Bennettらの提唱したchronic constriction injury(CCI)モデルを用いて検討した。また、11.7T小動物用高解像MRIを用いた撮像方法についても検討した。まず、6週齢のC57BL/6系雄性マウスを対象として、左坐骨神経を絞扼したCCIモデルと、神経を絞扼しないShamモデルを作成し、CCI群とSham群に分けて比較検討した。術後7日目にリゾビストを投与し8日目に還流固定した。術後8日目のおける脳MRIの変化を比較検証した。還流固定後の標本をMRI撮像は11.7T-MRI(AVANCE11,Bruker)内のコイルに固定して撮像した。術後8日目には、Sham群(n-3)に比較してCCI群(n=3)では明らかににマクロファージの分布が増加していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究者の所属施設の変更により、研究環境が整うまで、予定していた評価を施行が遅れていたが、その遅れは少しずつ取り戻している。MRIの撮像条件やマンガンの投与方法、またその評価方法などを検討したが、痛みモデルの脳部位における変化の特徴をうまく捉えることができなかったため、痛みモデルの変更し、脳MRIを用いた検討も別の方法を試みる必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
まず、研究環境も充実させる。大阪大学内だけでなく、滋賀医科大学内でも小動物用MRIを使えるように準備を進めた。滋賀医科大学では、MRスペクトロスコピー(MRS)を中心に評価を行う。滋賀医科大学では、慢性疼痛患者のMRSの臨床研究も行われているため、臨床研究と融合させていく。 また、痛みモデルを足底皮弁モデルからCCIモデルに変更して、痛みモデルとコントロールとの差が明らかにならない場合は、SNLモデルなど別の痛みモデルで再検討する。 上記と同時に、以下の行動試験で痛みを経時的に多面的に評価する。痛みの行動評価は、機械的アロディニアをvon Frey testで, 冷的アロディニアをcold plate testで, 熱痛覚過敏をplanter testを用いて評価する。情動・記憶の評価は、open field test,Y-maze testを用いて評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に研究者の所属機関が変更となり、研究の準備時間が必要となりを研究の開始が遅れた。今年後に国際学会で成果を発表する予定であったが、2019年度の学会で発表することになったため、その旅費が次年度に繰り越しとなった。
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