研究課題/領域番号 |
17K11113
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
伊吹 京秀 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90232587)
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研究分担者 |
松村 潔 大阪工業大学, 工学部, 教授 (10157349)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Brain endothelial cell / CFA / Cyclooxygenase-2 / PGE2 / monoacylglycerol lipase / diacylglycerol lipase / ex vivo experiment |
研究実績の概要 |
【目的】本研究では、マウスおよびラットの末梢炎症モデルにおいて、中枢性のPGE2合成がカンナビノイド系を介するか否かを明らかにする。2017年度はマウスin vivo炎症モデルを確立した。2018年度はラットex vivoモデルでその可能性を検討した。3年目にあたる2019年度では過去2年間の実験結果をさらに確固たるものにした。 【結果1】マウスzymosan 炎症モデル①マウスの後肢足底部の皮下に、zymosanを注射すると体温が上昇し、6時間で最大値に達した。COX-2阻害剤により体温の上昇は有意に抑制された。②zymosan投与3時間後に視床下部組織のPGE2含量が有意に増加した。③zymosan投与3時間後にCOX-2が脳表面の血管に誘導されることをウェスタンブロットで確認した。それと比較して視床下部組織でのCOX-2誘導は弱かった。④本実験モデルにおいても、単離した脳血管をex vivoで培養する実験系を確立した。Zymosan投与3時間後に単離した脳血管からは、COX-2依存性のPGE2放出が観察された。それと比較して、脳実質からのPGE2放出は少なかった。 【結果2】ラットCFAモデル①ラット後肢足底部皮下に完全フロイントアジュバント(CFA)を注射し、24時間後に脳と脊髄を摘出した。脳実質と脳表の血管でウェスタンブロットを行い、血管に有意にCOX-2が誘導されていることを確認した。一方、脳実質でのCOX-2誘導は弱いものであった。②脳血管をex vivoで培養し、培養液中に放出されるPGE2を測定し、カナビノイド系合成酵素ジアシルグリセロールリパーゼα・β阻害剤の効果を検討した。この阻害剤は培養液中のPGE2量に有意な影響を及ぼさなかった。 以上の結果は、末梢炎症により、脳内PGE2が主に血管においてCOX-2依存性に産生されることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
モノアシルグリセロールリパーゼ(MGL、内因性カナビノイドからアラキドン酸を遊離させる酵素)の遺伝子欠損マウスの繁殖に時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
MGL欠損マウスの繁殖を進め、マウスzymosanモデルで実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子欠損マウスの繁殖が計画通りに進んでいないため。今後は、動物購入、遺伝子欠損マウスの作成、飼育、およびそれらの動物を使った生化学実験のために、研究費を使用する。可能であれば、学会発表も行う予定である。
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