研究課題/領域番号 |
17K11116
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
篠原 信雄 北海道大学, 医学研究院, 教授 (90250422)
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研究分担者 |
菊地 奈湖 (間石奈湖) 北海道大学, 歯学研究院, 特任助教 (00632423)
樋田 泰浩 北海道大学, 大学病院, 准教授 (30399919)
大澤 崇宏 北海道大学, 大学病院, 助教 (60374443)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 薬剤耐性 / 腫瘍血管内皮 / 尿路上皮がん / P-glycoprotein |
研究実績の概要 |
血管新生阻害療法に対する耐性が最近報告されるようになってきた.われわれはこれまでの血管内皮細胞に関する概念に反し,腫瘍血管内皮細胞が薬剤耐性関連トランスポーターを高いレベルで発現しており,薬剤耐性があることを見出している.本研究では,転移性尿路上皮癌の予後不良の原因のひとつである薬剤耐性における腫瘍血管のトランスポーターの関与を探ることとした.具体的には,尿路上皮癌における腫瘍血管の薬剤耐性関連トランスポーターの発現解析と,そのトランスポーター阻害により尿路上皮癌の抗癌剤感受性を高めることが可能かどうかを検討し,尿路上皮癌の薬剤耐性を克服する新たな戦略をたてるための基盤研究を行うことを目的としている. 今年度は,抗癌剤処理後の尿路上皮癌細胞が分泌する因子の血管内皮細胞へ与える影響を検討するため,ゲムシタビン,シスプラチンなどの抗癌剤で処理された尿路上皮癌細胞の培養上清を回収し,それらが血管内皮細胞の薬剤耐性関連トランスポーター発現に与える影響をReal-time PCR法等で解析した.さらに抗癌剤で処理された尿路上皮癌細胞の培養上清中に多く含まれる分子について,PCR arrayにより解析し,メカニズム解析を行った.抗癌剤と薬剤耐性関連トランスポーター阻害剤との併用投与が有効かどうか検討するため,ヒト膀胱癌細胞株を用いたマウス in vivo腫瘍モデルにおいて,パクリタキセルと薬剤耐性トランスポーターP-gpの阻害剤を併用し,検証した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に沿って概ね研究はすすんでいるため.抗癌剤処理後の尿路上皮癌細胞が分泌する因子の血管内皮細胞へ与える影響を解析することができており,さらに抗癌剤で処理された尿路上皮癌細胞の培養上清中に多く含まれる分子についてのメカニズムについての知見を得ることができた.また,抗癌剤と薬剤耐性関連トランスポーター阻害剤との併用投与が有効かどうかに関連する結果も得られた.学会発表もできている.
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今後の研究の推進方策 |
抗癌剤処理後の尿路上皮癌細胞が分泌する因子に対する阻害剤が入手可能な場合は,in vivoで担癌マウスに投与し,抗癌剤に対する薬剤耐性と,血管新生阻害効果,抗腫瘍効果を評価する.がん患者臨床検体におけるこれらの分子の発現とその臨床病理学的因子,予後との関連について,北海道大学病院ならびに関連病院の癌患者の検体を用いて検討し,これらの分子が治療ターゲットとなりうるかどうか可能性を探る.
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次年度使用額が生じた理由 |
計画時、研究に関する論文投稿のため英語校正依頼を予定していたが、追加の実験をしており完成が間に合わなかったため次年度への繰越が生じた。繰越金については今年度、論文作成の際の英語校正料として使用する予定である。
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