研究実績の概要 |
1.前立腺癌において、メタボロームの制御因子であるアミノ酸トランスポータであるLAT1とヘテロダイマーを形成する4F2hcの腫瘍増殖における重要性を同定した。前立腺全摘標本における4F2hcの発現は、PSA再発と関連(P=0.0035)。4F2hcの高発現は、the clinical tumors stage (p= 0.0255) とGleason score (p= 0.0035)と関連した。Si4F2hcは、G0/G1 Arrestに関連し、MAPKとAKTのリン酸化を抑制した。Si4F2hcのRNA Seq解析から、下流シグナルとしてSKP-2蛋白を同定した。 2.新規AR剤治療を行う去勢抵抗性前立腺癌患者において血清テストステロン値が高い症例(テストステロン≧13ng/dL)において、有意にPSA再発と関連することを見出した (HR 0.43, p=0.032) 。個別解析では、Enzalutamide症例においては、有意に再発と関連 した(HR 0.28, P=0.0044)が、Abiraterone症例においては、傾向のみ認めた (HR 0.40, P=0.0891)。Sakamoto et al., J. Clin. Med. 2019, 8(4), 489 3.ドセタキセル化学療法を行う去勢抵抗性前立腺癌患者において、血清テストステロン≧13ng/dLは、PSA再発(HR1.81, P=0.0108)と全生存期間(HR3.37, P <0.0001)が有意に短い結果であった。 血清テストステロン≧13ng/dLは、内臓転移、High Volume、PSA値と関連した。 Ando, Sakmoto et al., Prostate. 2020 Feb;80(3):247-255.
以上から、メタボロームの制御因子であるアミノ酸トランスポーターLAT1/4F2hcの前立腺癌における臨床的重要性を示すとともに、4F2hc下流シグナルを介した機能を証明した。また、前立腺癌において重要なメタボローム因子である血清テストステロンの予後予測因子としての有用性について、新規AR剤治療症例と化学療法症例において同定し報告した。
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