研究課題/領域番号 |
17K11131
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
窪田 成寿 滋賀医科大学, 医学部, 医員 (80759118)
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研究分担者 |
礒野 高敬 滋賀医科大学, 実験実習支援センター, 准教授 (20176259)
影山 進 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (50378452)
吉田 哲也 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (60510310)
河内 明宏 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90240952)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | γ-グルタミルシクロトランスフェラーゼ / トランスクリプトーム解析 / メタボローム解析 / 細胞周期関連遺伝子 / 癌関連タンパク |
研究実績の概要 |
乳癌由来MCF-7を用いてGGCT発現阻害時における遺伝子及び代謝産物の変動をオミックス解析により網羅的に解析した.GGCT発現阻害による変動遺伝子を同定し,これらが関与するBioprocess及びPathwayをアノテーション解析により検討した結果,変動遺伝子の多くは細胞周期(G1/S期)およびDNA複製に関与するものであった.細胞周期関連遺伝子に着目し,詳細を検討した結果,p15ink4b, p21cip1の2つのCDK inhibitor(CDKI)の誘導がG1期細胞周期停止を介して細胞増殖抑制に関与していることが示唆された.CDKIの誘導をsiRNAにより阻害すると,GGCT発現阻害によるG1期細胞周期停止と続発する細胞増殖抑制が阻害された.前年度までの結果を踏まえ,最終年度ではCDKIの誘導を惹起する細胞内カスケードを同定するために解析を進めた結果,TGFβ-SMAD3 sginaling pathwayの活性化がCDKIの誘導に関与することを明らかにした.TGFβ2,SMAD3の発現阻害により,SMAD3のリン酸化の阻害程度に依存してp15ink4bの発現はほぼcompletelyに,p21cip1はpartiallyに制御されることを明らかにした.次にGGCT発現阻害によりTGFβが誘導されるメカニズムについて検討した.メタボローム解析の結果,GGCT阻害によりglutathione及びその基質であるcysteineの低下をきたすことが明らかになったため,cystein前駆物質であるN-acetyl-L-cysteine(NAC)を添加し,細胞増殖抑制への関与を検討したが,rescue効果は明らかではなかった.上記より,本研究において,GGCTの発現阻害によるTGFβ-SMAD axisを介したCDKIの誘導が抗腫瘍メカニズムの一因であることを明らかにした.
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