研究課題/領域番号 |
17K11135
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
永原 啓 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90588774)
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研究分担者 |
植村 元秀 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (40631015)
藤田 和利 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (50636181)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 膀胱癌 / 再発 / DNAメチル化 |
研究実績の概要 |
筋層非浸潤性膀胱癌は術後膀胱腔内再発を高率に来すことが特徴的であり、その予防として抗がん剤やBCGの膀胱内注入療法が施行されているが、抗がん剤はその効果が限定的で、BCGは有害事象が多いのが問題であり新規の再発予防治療法の開発が医療経済の観点からも望まれる。以前より膀胱癌の発生に特定の遺伝子のDNAメチル化が関与していると報告されていることから、我々はこの点に着目し肉眼的及び病理学的に正常である粘膜にすでに生じているDNAメチル化が再発に関与していると仮説を立て、TUR-BTの際に採取した正常粘膜のメチル化の状態を検討し、再発に関与する特定のDNAメチル化を同定することを目的とし、さらには将来的には再発予防治療として脱メチル化剤膀胱内注入などの臨床応用を目指し研究を開始した。 平成29年度は、まず第一にTUR-BTを施行し術後再発を認めない膀胱癌患者のホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPE)を用い、癌部及び非癌部よりDNAを抽出したうえで、癌部及び非癌部各5検体について、DNAメチレーションアレイを施行し、癌徳的なDNAメチル化の増加を網羅的に探索し、次いで選定した候補遺伝子について他の20症例のコホートについて同様に癌部及び非癌部よりDNAを抽出したうえで、メチル化特異的PCR法により選定した候補遺伝子の癌特異的なメチル化の増加を確認する予定であった。 しかしながら、FFPEから安定してDNAの抽出を行うことが手技的に困難で、特に正常粘膜からのDNA抽出に際してはその後のアッセイに十分な量のDNA量を確保できる検体は50%程度であることが判明したため、当初の予定を変更しまず対象となる検体からのDNA抽出を先行させ、そのうえでクオリティの高いDNAサンプルを選定したうえでメチレーションアレイ以降の手順を行う予定とした。現在臨床検体からのDNA抽出を行っている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPE)から安定してDNAの抽出を行うことが手技的に困難で、安定して標本からDNAを抽出する手技の確立に時間を要した。また、TURBTの際に生検を施行し採取した正常粘膜からのDNA抽出に際しては、その後のアッセイに十分な量のDNA量を確保できる検体は50%程度であることが判明した。それゆえ、当初の予定では癌部及び非癌部より抽出したDNAを用いてメチレーションアレイを行う予定であったが、これを変更し、まず対象となる臨床検体からのDNA抽出を先行させ、そのうえでクオリティの高いDNAサンプルを選定したうえでメチレーションアレイ以降の手順を行う予定とした。それに伴い、メチレーションアレイを行う予定として初年度に経費を多く計上していたが、これを次年度へと繰り越すこととした。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は臨床検体からのDNA抽出を施行し、研究遂行に十分な検体数を確保した段階でクオリティの高いDNAサンプルを用いてDNAメチレーションアレイを施行し、当初の予定通り癌においてDNAメチル化の増加を認める候補遺伝子を選定する予定である。ホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPE)からの安定したDNA抽出が困難であると判断した場合は、凍結標本からのDNA抽出をしたうえで、その後の検討を進めることも選択肢と考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
メチレーションアレイを行う予定として初年度に経費を多く計上していたが、これを次年度へと繰り越すこととした。
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