研究課題
自件例のSTAT1の免疫組織染色では、主に細胞質での STAT1 発現が認められるが、STAT1 シグナル亢進を示す核染色像も認められ、GC 療法前と比べ、GC療法後にSTAT1の発現が上昇する傾向にあり、GC療法後においてのみSTAT1の核染色像が認められた。次に GC 療法が行われた転移性尿路上皮癌 では、STAT1 高発現群は有意に予後不良であり、PD 症例で STAT1 が高発現する 傾向が認められました。さらに、多変量解析をした結果、STAT1 の高発現は、 予後不良因子として知られている転移部位や貧血、BMI などと比較しても独立 した予後不良因子であった。膀胱癌臨床検体でも STAT1 高発現症例は GC 療法後に予後不良と関係することが示唆され、STAT1のGC療法の効果予測因子としての意義が明らかとなった。耐性株のSTAT1発現抑制による細胞増殖能を調べると、STAT1発現抑制は細胞増殖能を亢進させ、細胞周期解析でもG1期減少とS期増加を認めた。細胞周期関連蛋 白質を調べると、STAT1発現抑制によってp27の発現低下を認めた。耐性株においてSTAT1シグナル亢進は、細胞周期抑制に働くことが明らかとなった。一方でシスプラチンもしくはゲムシタビン投与下で耐性 株のSTAT1発現抑制を行うと、細胞増殖能は有意に抑制され、アポトーシスが増加する結果であった。STAT1シグナルは抗がん剤耐性膀胱癌で亢進し、細胞周期の抑制によって抗がん剤耐性獲得に関与する。一方で、抗がん剤併用でのSTAT1発現抑制は抗がん剤感受性を回復させることから、抗がん剤とSTAT1抑制の併用療法は抗がん剤耐性を克服する新規治療法となる可能性があると考えている。
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