研究課題/領域番号 |
17K11145
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
塩田 真己 九州大学, 大学病院, 講師 (20635445)
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研究分担者 |
江藤 正俊 九州大学, 医学研究院, 教授 (90315078)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 転移性前立腺癌 / 一塩基多型 / 個別化医療 |
研究実績の概要 |
本邦で行われている転移性前立腺癌に対するホルモン療法の効果について検討する前向き臨床試験(KYUCOG-1401試験)を行っている。その付随研究(KYUCOG-1401-A試験)として、本臨床試験に参加頂く約200例の患者様から同意を取得後、ゲノムDNAの採取を予定している。現時点で、約120例の患者から血液を採取し、ゲノムDNAの抽出を行い、55例でゲノムワイドSNP解析を行った。平成31年度に残りの症例の集積と解析を行う。 また、既に転移性前立腺癌に対するホルモン療法を行った104症例について、個別遺伝子の遺伝子多型とホルモン療法の予後の関係についての解析も行い、いくつかの遺伝子多型が予後と相関することを見出した。具体的には、CYP19A1やミネラルコルチコイド受容体(mineralocorticoid receptor, MR)の遺伝子多型やsex hormone-binding globulin(SHBG)およびHSD3B1のミスセンス変異を生じる遺伝子多型において、遺伝子多型がホルモン療法の予後と相関することが分かった。また、アビラテロン治療における治療効果や予後に、HSD3B1の遺伝子多型がホルモン療法と逆の影響を示すことが明らかになった。また、SRD5A2の遺伝子多型もアビラテロン治療の治療効果と関与することが明らかになった。さらに、ホルモン療法に抵抗性となった前立腺癌組織においては、同様な体細胞遺伝子変異が生じており、HSD3B1のミスセンス変異がホルモン療法抵抗性の獲得に大きく関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに予定している研究について順調に進捗している。研究の進展度としては、おおむね予定していた研究計画の通りに進んでおり、今後も引き続き、当初の予定通り本研究を推進予定である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、KYUCOG-1401試験に参加頂いた症例からゲノムDNAの採取を進め、ゲノムワイドなSNP解析を行うと同時に、ホルモン療法の予後の経過観察を行う。また、ホルモン療法の再発症例の後治療の内容およびその治療経過についても調査を行い、ホルモン療法抵抗性前立腺癌治療の予後と相関するSNPの同定についても併せて行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究に必要な物品を次年度購入予定です。
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